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草は枯れ、花は散る(1) 朝の光が、血と憎悪に濡れた大地を照らす。 それはどこか神秘的であり、血生臭い殺し合いが行われているとは思えない光景だった。 憎たらしくなるほど美しいその朝焼けの中を、二体の巨人が並んで飛んでいく。 ディス・アストラナガンと、マジンカイザー。 今や、殺し合いを止めるための鍵とも言える二機の姿は、禍々しさを感じさせる。 満身創痍の悪魔と魔神、それらと朝の光とのコラボレーションは、 絶望に抗う彼らへの嫌味か当てつけかのように、ミスマッチ極まりなかった。 四度目の放送が流れてから、ミオとヴィンデルは一言も口を開いていない。 もっともミオのほうは、盗聴の可能性を考えて、会話は控えているのだが。 しかし、彼女の表情には普段の明るさはなかった。 突きつけられた現実から考えれば、それも当然である。 22人――放送で読み上げられた死者の数は、これまでとは比較にならないものだった。 三度目の放送の段階で、生存者は31人。この12時間で、そこから実に3分の2の命が失われたこととなる。 異常な進行速度だ。デビルガンダムの暴走を考慮に入れたとしても、である。 いくら彼女と言えど、この非情な現実を前に、冗談を言う気分になどとてもなれなかった。 二人がしばらく進んでいると、眼下に大破した機動兵器を発見した。 白いMSらしき機体だった。それを見て、ミオは機体を止める。 (殺し合いは……続いてるんだ) わかっていたことだった。 デビルガンダムのコアとなっていた間、ミオは数多くの断末魔の思念をその身に受けていた。 どれだけの殺し合いがこの世界の中で行われていたか、わかっていたはずだった。 それを証明するものが、今しがた流れた放送だ。 だが、全てをクールに受け入れられるほど、彼女は老成しているわけでもない。 いっそ思い切り叫び出したくなる衝動を、ぐっと堪える。操縦桿を握る手に、自然と力が込められた。 「……行くぞ。ここで、足を止めている時間はない」 ヴィンデルがミオに声をかける。 「マシュマー達から託された遺志を継ぐためにも…… 我々は、ここで立ち止まっている暇はない。……わかるな」 昇進の少女に対して多少厳しいことを言っているのは、ヴィンデルも承知の上だった。 (……ヴィンデルさん) だがミオはヴィンデルの意図を察し、無言でアストラナガンを頷かせた。 彼女は比較的精神年齢は高かった。何より、彼女自身もわかっていた。 ゲッターの世界で出会った、死んでいった人達の遺志を無駄にしないためにも、 そして自分を救ってくれたマシュマー達のためにも、決して絶望に屈するわけにはいかないのだ。 だから、ミオは再び進みだす。 (……強い子だ) 再び進み始めたアストラナガンを見ながら、ヴィンデルは素直にそう思った。 (あの年代の子には不釣合いなほどに、な) この絶望的状況においてなお折れない心。 デビルガンダムやゲッター線との接触が、彼女をそうさせるのか。 あるいは、この世界に召還される前からか―― ヴィンデルの彼女に対する感想は、奇しくもアクセルが彼女に抱いたものと同じだった。 (だが、今となっては……彼女の強い心こそが、ユーゼスに立ち向かうための希望になる) 希望――かつてチーフがリュウセイに対し、それを見出したように。 ヴィンデルもまた同じものを、ミオに見出していた。 (ならば……私は、あの子を守り抜いて見せよう。 アクセル、マシュマー……お前達が命を賭けて守った、この少女を) そう決意して、ヴィンデルは微笑する。そして、気付いた。 普段の自分からは考えられないほど、穏やかな表情を浮かべていることに。 (……まだ、こんな風に笑えたのか。私は) ヴィンデルはもう一度、眼下の破壊されたMSを一瞥する。 (……今なら、お前達のような者の気持ちが、わかるような気がする) ヴィンデルは以前にもこのMS、そしてそのパイロットと遭遇したことがある。 彼らといた時間は短かった。会話もほとんどなかったし、顔合わせもモニター越しでしか行っていない。 だがそれでも、彼――いや、彼らがどんな人間だったか、その短時間である程度想像はついた。 このMSに乗っていた頼りなさそうな青年と、彼に付き従っていた銀髪のツインテールの少女。 (ホシノ・ルリを見殺しにしたこと……この場で、詫びておく。テンカワ・アキト……) マジンカイザーはその惨状を暫し見届けて、アストラナガンを追いかけた。 * * * * * * * * * * * クォヴレー・ゴードン。 彼には、このバトル・ロワイアルに参加する以前の記憶がない。 だから、彼にとってはこの二日間の出来事が全てだった。 その中で生まれた仲間との絆は、彼という人格を構成する要素の大部分を占めていた。 クォヴレーの人格は、いつしか仲間に依存するという形で初めて、成立するようになっていた。 そんな彼に突きつけられた、トウマ・カノウの死。 相棒的な存在にもなっていた身近な人物の死は、それまでどこか漠然としていた 殺し合いの恐ろしさを、リアルな認識へと昇華させた。 トウマの死により、彼はバトル・ロワイアルという殺し合いの現実を改めて痛感することとなる。 彼はやがて仲間を失うということに対し過剰なまでの恐れを抱くようになった。 過去を失った彼にとって、この世界で出会った仲間の死は、自らの半身を失うことと同じ意味を持つのだから。 それを嘲笑うかのように、四度目の放送はクォヴレーの心に容赦なくナイフを突き立ててきた。 リュウセイが死んだ。ジョシュアが死んだ。 セレーナも、リョウトも。おそらく、セレーナと共にいたエルマもそうだろう。 E-1の島で別れた仲間達は、いなくなっていた。クォヴレーの与り知らぬ所で。 悪夢にはそれだけに留まらなかった。 今、クォヴレーはシロッコと共に、レイズナーのコックピットの中にいる。 きな臭さと血の匂い漂うそこで二人が目にしたのは、散らばった首輪の破片と、 シートに紅い色を撒き散らして倒れている、巨漢の男。 それは紛れもなく、今しがた放送で呼ばれたガルド・ゴア・ボーマンの成れの果てだった。 だが、クォヴレーはそれを見てから『ガルドの死』という現実を受け入れるまで、数秒を要した。 死体の首から上は、ガルドの、いや人としての形を完全に失っていた。 彼がありのままの現実を受け入れるには、その死に様はあまりにも悲惨すぎたのだ。 「木原マサキ、か……こちらの想像以上に危険な人間のようだな」 「そんなことは……わかっている」 すぐ隣で呟いたシロッコに、クォヴレーは苛立たしげに吐き捨てた。 その苛立ちを向ける対象は、ガルドを殺したマサキでも、不愉快なほど冷静さを保つシロッコでもない。 (わかりきっていた……こんな事態が起きる可能性は、十分に考えられたはずなのに) 彼は自分の迂闊さを呪った。木原マサキに付け入る隙を与えた、自分自身を憤った。 (あの男を放置しなければ、目を離したりなどしなければ……! あいつが、トウマが死んだ時誓ったはずなのに……なんてザマだ……!) 次第に彼は、ガルドの死を背負い込んでいく。 無意識のうちに、何もかもを自分ひとりで背負い込んでしまうのは、悪い癖だった。 (俺が、もっとしっかりしていれば……死なずにすんだかもしれない。 ガルドも、トウマも。いや、リュウセイやジョシュア達だって……!) ガルドだけではない。他の仲間の死までも取り込んでゆく。 しかし、ただでさえトウマの死、さらに記憶喪失による不安やストレスが蓄積し、 精神的に疲弊していた彼が、この上、仲間の死の全てを背負い込むには、それはあまりにも重過ぎた。 その重みで、糸が切れ始めた。 『彼』と『クォヴレー・ゴードン』を繋ぐ糸が、一本、また一本と……。 そして――彼の中で、何かが狂い始めた。 (人間の所業じゃない……) ガルドの亡骸を見て、クォヴレーは握った拳を震わせた。 惨たらしい。あまりにも惨すぎる。 どれほどの猟奇的趣味の持ち主でも、ここまで酷い殺し方などできないと思えるほどに。 (こんな真似を平然と行える奴が、人間であってたまるものか……!) 心の奥底から、怒りと憎しみが湧き上がる。それを止められる者は、この場には存在しなかった。 (こんなことが、許されるはずがない……こんなことをできる悪魔が、許されていいはずがない!!) 「クォヴレー!?どこへ行く!?」 シロッコが叫んだ時には、クォヴレーは既にレイズナーのコックピットを飛び出していた。 地面に降り立つと、そのまま駆け出す。向かう先はもちろん、ブライガーのコックピット。 それに乗ってどうするかは、決まっている。 (イキマを追わなければ……でなければ、あの悪魔にイキマが殺される――!!) ブライガーの操縦席へと戻ったクォヴレーは、すぐさま機体の起動作業に取り掛かった。 黙々と、しかし焦りを顕にしながら、システムを立ち上げる。 (あいつは……イキマは、こんな所で死んでいい奴じゃない。 過去を乗り越え、新たな道を見出しつつある、あの男は……!!) イキマがグルンガストに乗り込む前に見せた、確かな覚悟を秘めた表情が脳裏に蘇った。 (絶対に、イキマを死なせるわけにはいかない……ましてや、あんな悪魔に……!! 木原マサキ……ガルドを殺したあの男は、何としても止める。 奴がイキマを殺そうとする前に、何としても……殺す!) 仲間を守りたいという想い、そして仲間の仇を討つという復讐心が、憎悪を加速させる。 やがて彼の中に殺意という名の刃が生まれ、その刃先は明確に、倒すべき敵へと向けられた。 だが憎悪から生み出されたその刃には、憎悪に囚われた彼には制御する術がなかった。 (いや、マサキだけじゃない。あのラミア・ラヴレスも信用が置けるものか。 あのユーゼスの犬が、素直にイキマと共闘などするはずがない) 刃を向ける対象が、暴走とも取れる勢いで、次第に広がっていく。 (そして、トウマやリュウセイ達を殺した奴らも……! 敵は倒す……全て、一人残らず倒す……!もう二度と、躊躇わない……!) その決意は、彼がバトル・ロワイアルの理に取り込まれつつあることを意味していた。 そうなったきっかけが仲間との絆だというならば、皮肉な話ではある。 (マサキを、ラミアを……そして皆を殺した奴らを……! 何よりも、ユーゼス・ゴッツォ……この殺し合いを仕組んだあの男だけは……! 俺の大切なものを奪い尽くした、あの男だけは!) 修羅でも乗り移ったかのような形相で、彼はユーゼスと殺人者達を、心の底から憎悪した。 その表情には、もはや記憶を失う前のクォヴレー・ゴードンの面影など見当たらなかった。 彼の憎悪に呼応するかのように、ブライガーの瞳に光が灯る。 同時に、コックピット内のモニターにも、外の光景が映し出された―― 「な――!?」 モニターに映し出された光景を見て、クォヴレーは自分の目を疑った。 ちょうど、ブライガーの真正面。 先程までグランゾンが停められていた所に、それは転がっていた。 (あれ……は……!?) 何故、今の今まで気付かなかったのか。 いや、それ以前に、何故あれがここにあるのか。 だって、あれを持っていたのは―― 視線を移す。レイズナーに……いや、その中に残ったままの、パプテマス・シロッコに。 (シロッコ……まさか、お前は……!?) クォヴレーの頭に、一つの疑惑が生まれた。 その瞬間、まだ心の一部で収まっていたはずの復讐心が、急激に肥大化した。 それは憎悪と共に、彼の心の全てを黒く染め上げる。 同時に彼は、今本当に為すべきことを見失い、目の前の疑惑の元凶に思考の全てを注ぐようになった。 狂った歯車が、動き始めた―― * * * * * * * * * * * (依存の対象を失って、精神の均衡が崩れたか。 今は矛先を向ける明確な存在がいる分、崩壊までには至っていないが……) レイズナーのコックピットに一人取り残されたシロッコは、飛び出していったクォヴレーの姿を 見ながら、その精神状態に危険を抱き始めていた。 コックピットを飛び出す直前に一瞬見えたクォヴレーの目には、以前にも見覚えがあった。 つがいを失い精神を崩壊させた少女――ゼオラ・シュバイツァーの目とよく似ているのだ。 (これであのイキマとやらが死ねば、決定打となるな。ゼオラと同じ道を進み始めるのも時間の問題かもしれん。 暴走して、見境がつかなくなれば面倒なことになるが……) 目の前の死体を一瞥する。表面上平静を保っているシロッコでも、その惨い死に様には吐き気を催していた。 (……こんなものを見せられれば、錯乱も致し方なし、か) 思えばキラ・ヤマトの崩壊も、きっかけはこれと似たものだった気がする。 他人の精神崩壊にやけに縁がある。あまり歓迎したくない縁に、シロッコは溜息を一つついた。 (それにしても、何たる失態だ……ここに来てグランゾンを奪われるとはな。 それも、これだけの残虐性を持つ男の手に渡ったとなると…… ……ん?) 何気なくシートに目が行く。そこには、見たことのない丸い物体が置かれていた。 手にとって見定めてみる。何かの機械のようだ。 「これは……もしや」 マサキが去り際に言い残していった言葉が思い出される―― そこまで来て、シロッコの思考は中断された。 (!! 敵意……いや、この鋭さ……殺意か!) 自分に向けられたプレッシャーに、シロッコは振り返る。 こちらを向いて立つブライガーが、目に飛び込んできた。プレッシャーの出所は、彼だ。 前に突き出された右手には銃が握られている。 その銃口は、レイズナーに――今シロッコがいる、コックピットに向けられていた。 事態の急変を悟ったシロッコはすぐさまシートに座り、ブライガーとの通信回線を開いた。 レイズナーの元の操縦者であるマサキはグランゾンに乗り換えたのだから、躊躇う必要はない。 マサキが機体を起動させたままにしていたのは幸いだった。行動は迅速に進められた。 「クォヴレー……一体どういうつもりだ」 通信機越しに、シロッコはブライガーの中のクォヴレーへと問いかける。 「お前が、殺したのか」 返ってきた声は、先程の姿からは考えられないほど、冷たかった。 「お前が、リュウセイやジョシュア達を殺したのか」 それも爆発寸前の怒りを無理矢理抑え込むかのような、どこか危うさを感じさせる冷たさだ。 「……何を言っている。いや、何故そういう結論に辿り着いたか、説明してもらいたい所だが」 余計な刺激を与えないように言葉を選びつつ、シロッコは再度問い返した。 それと同時進行で、機体のサポートAIに指示を与える。 (AIは生きているか。よし……機体のマニュアル、及び現在の機体状況をモニターに映し出せ) 「READY」 そんなシロッコの行動など気付くことなく、クォヴレーは返答する。 「お前は嘘をついている。お前は、俺の仲間達と出会っているはずだ」 「……どういう意味か、わからんが」 さらに出方を伺うべく、シロッコは肯定でも否定でもない返事を返す。 「白を切るな。根拠は……あれだ」 ブライガーの左手が指し示した先。 そこには、人型機動兵器の動力部が放置されていた。 シロッコがE-1で拾い、グランゾンに隠し持たせていた高エネルギー体。 ――トロニウムエンジン。 「何故セレーナが……俺の仲間が持っていたあのエンジンを、お前が持っていた?」 (抜かった――) なんと迂闊な!シロッコは内心で舌を打った。 別にエンジンのことを忘れていたわけではない。クォヴレー達にも、追々経緯は説明するつもりだった。 だが、そこに至る前に、マサキの手でグランゾンを強奪され、段取りは有耶無耶となった。 しかも、マサキは逃亡の際、トロニウムエンジンを回収し忘れていってしまったらしい。 エンジンの存在は、クォヴレーのシロッコに対する疑念を一気に膨らませることになる。 グランゾン強奪に、放送のタイミング――あらゆる偶然が重なり合った結果、 シロッコにとって最悪のシナリオが作り出された。 (フン……どうやらティータイムで緊張を解しすぎたらしいな) 追い詰められたこの状況に自らを皮肉りつつも、シロッコはこの場を切り抜けるべく思考回路を稼動させる。 「どうした、答えてみろ」 そう問い詰めるクォヴレーの声色には、震えが僅かに感じられた。まさしく怒り心頭といったところか。 面倒を避けるためについた嘘が、ここに来て裏目に出た形となってしまった。 (ラミア・ラヴレスはこういった展開も見越して、私に嘘をつかせたのかもしれんな) そんなことを考えながら、シロッコは口を開く。 「そのエンジンは拾い物だ。とある戦闘の跡で発見した」 「拾った……だと?そんな言い訳じみた言葉を信用できると思っているのか」 「真実だ。信じてくれ、としか言いようがないな」 無理な話だとは思うが。シロッコは内心でそう付け加えた。 この状況では何を言っても言い訳臭くなる。相手が感情を先走らせているとなれば、尚更だ。 シロッコは嘘は言っていない。リュウセイと遭遇したことを隠している以外は、確かに全て事実である。 だが潔白を証明できる決定的な証拠がない以上、クォヴレーを納得させることは極めて困難だった。 「君の仲間のことはわからんが、その場には生存者はいなかった」 「お前が殺したから、か……!」 「誤解だ。君の仲間については、先程伝えた情報以外には……」 クォヴレーの言葉、そして必要以上に向けてくる敵意に、説得は期待できそうにないとシロッコは改めて判断した。 受け答えと並行して、シロッコはモニターに映し出された機体状況を確認する。 (左腕損失に、背面部装甲に損傷……現状で使用できる武装は、脚部のカーフミサイル程度か。 だが、戦闘などできる状態ではない。逃げるにしても、背面部スラスターが完全に破損していてはな……) 想像以上の機体の損傷に、シロッコは顔を顰める。 状況は絶望的――それに追い討ちをかけるように、クォヴレーは問い詰めてくる。 「お前はこれを拾ったんじゃない……奪ったんじゃないのか。セレーナや、リュウセイ達を殺して――!」 一言一言から怒りが滲み出ている。堪忍袋を縛る緒の限界が近いらしい。 「……随分な言いがかりだな」 「あのエンジンに限ったことじゃない。ユーゼスのスパイと行動を共にしていたこともそうだ。 いや、マサキにグランゾンを奪われたことすらも……」 まさしく言いがかりも甚だしいクォヴレーの言動に、シロッコは閉口した。 疑心暗鬼に陥ったクォヴレーの思考は暴走しつつある。 シロッコの予感は、あまりにも早い段階で現実のものとなっていた。 このまま酷くなれば、彼は――いや、この調子ではその先へと至る前に、シロッコは命を落とすことになるだろう。 「お前には不審な点が多すぎる」 そう言って、ブライガーは銃を構え直す。 いつ銃声が轟いてもおかしくないほどの緊張感が、周囲に張り詰めた。 逃げ場はない。まさしく絶体絶命と言ったところか。 しかし、それでも彼は取り乱すことなく、口を開いた。 「私を撃つか。だが、それは君のためにはならんぞ。クォヴレー・ゴードン」 「何……?」 クォヴレーの返答を待たず、シロッコはコックピット内の映像をブライガーへと送信した。 「!! それは……!!」 クォヴレーの発する声が、明確に焦りを含んだものへと変わった。 彼からも見えているはずである。シロッコが、丸い機械を抱えているところが。 「私に当てれば、この機械……首輪の解析装置も、失われることになる」 首輪の解析装置。木原マサキが残していった、脱出の鍵の一つ。そして今は、シロッコの唯一の生命線でもある。 「き……貴様!!」 「破廉恥だと笑ってくれて構わんよ。とにかく、まずはその銃を下ろしてもらいたい」 これでは三流の悪党だと、シロッコは内心で苦笑した。 (こういった手段は避けたかったが……今の状況ではやむを得んか) 後々の面倒を考えると頭が痛くなる手口ではあるが、現状でこの窮地を打開するための唯一の手段だ。 だがこの手段も、絶対であるとは言い切れない。 解析装置すら無視するほど彼が感情に呑まれていれば、それで終わりだ。 (さて、どう出る……クォヴレー・ゴードン) クォヴレーの取る次の行動に対処すべく、シロッコは操縦桿に手をかける。 平静を装っているものの、彼の額には汗が滲んでいた。 * * * * * * * * * * * (あの男、よくもぬけぬけと……!) レイズナーから送られてきたシロッコの映像を見て、クォヴレーは唇を噛んだ。 シロッコが抱える機械は間違いなく、マサキが首輪を外していた時に使用していた物である。 解析装置を失えば、ようやく見つけた首輪の解除手段を失うこととなってしまう。 それは、脱出の手段、そしてユーゼスに牙をむくための一歩をふいにすることと同義。 クォヴレーに選択肢は残されていないはずだった―― しかし。 (奴の言う通りにするしかないのか。みんなを殺したかもしれない奴の……!) クォヴレーは迷った。 首輪の解除を盾に自らの延命を図る――シロッコの取ったその行動は、同じなのだ。 あの憎き悪魔のような男、木原マサキの取った行動と。 『マサキと同じ行動を取った』という事実は、クォヴレーのシロッコに向ける敵対心をさらに煽ることになった。 (マサキと同じように、みすみす殺人鬼を野放しにしろというのか。 そして……また、過ちを繰り返すのか。ガルドの時と同じように……) ガルドの死に様が、再び脳裏に浮かび上がる。『マサキを見逃したばかりに』殺された、ガルドの姿が。 ――殺せ。過ちが繰り返される前に。 心の奥底にある何かが、クォヴレーに囁きかけてきた。 ――殺せ。この男は皆の仇だ。この男はマサキと同類だ。 ――殺せ。そして仇を討て。もう二度と、悲劇を繰り返さないために。 ――たとえ、脱出の手段を失うことになっても―― (!! 俺は何を考えて……!?) おかしくなり始めている。 それを自覚し、クォヴレーは自分の思考に恐怖した。 だが、囁きは疑念に囚われた彼の心を徐々に蝕み、その感覚すら消し去っていく。 ――何を躊躇う?甘さは捨てろ。トウマが死んだ時、決意したのではないのか? ――お前の甘い考えのせいで、トウマもガルドも死んでしまったのではなかったのか? (……そうだ。もう、あの二人の過ちを繰り返すわけには……) ――殺せ。取り返しかつかなくなる前に。 ――それが、取り返しのつかない事態を引き起こすとしても―― 思考が、破綻を起こしていく。 麻痺した感覚は、明らかに狂ったその思考を、自然に受け入れていく。 クォヴレーの手が、トリガーに添えられる―― 「―――――ッ!?」 突然、頭の中に電気が――いや、稲妻でも落ちたかのような感覚が走り抜けた。 それはクォヴレーの思考を中断させ、同時に彼を我に返らせた。 (な、何だ今のは――ぐぅっ!?) 続いて、激痛がクォヴレーの頭を襲った。 今まで感じたことのない、得体の知れない痛みが脳全体に広がっていく。 (く……この感覚は何だ!?何かが……何かが近づいてくる?) 激痛の中で、クォヴレーはこの場所に接近してくる何者かの存在を感じ取った。 額に脂汗が滲む。痛みは徐々に強くなっていく。 クォヴレーの直感に呼応するかのように、コックピットに警告音が鳴り響いた。 その音と共に、レーダーに新たな機体の反応が表示される。 「……クォヴレー」 「動くな!!」 声をかけたシロッコを、クォヴレーが怒声を発し制した。 同時に、銃口から光が走り、レイズナーのすぐ横を掠めていった。 「お前は黙っていろ……!!」 苛立ちも顕にシロッコを一蹴し、クォヴレーはレーダーに注目した。 北側から反応が2つ、自分達のいる場所に近づいてきている。 「シロッコ……そこから動くな。少しでも動けば、次はコックピットを狙う……!」 半ば取り乱しつつシロッコに釘を刺すと、クォヴレーは痛む頭を抑え、反応のある方角へと目を向けた。 2つの機影が、肉眼でも見えた。 (間違いない……俺が感じたのは、あの片方……!) 2機が接近してくると共に、頭痛は激しさを増していく。 その痛みとは別に、何か言いようのないもどかしさがクォヴレーを包み込んでいく。 それは、クォヴレーにさらなる苛立ちを提供することになった。 (ぐっ……一体どうしたというんだ!?こんなことをしている場合ではないというのに……!) 2機の影はだんだん大きくなり、やがて姿がはっきりと見えてくる。 片方は赤い翼を持った、黒い魔神。 そして―― 「あれは……!?」 もう片方の黒い機体を見た時、クォヴレーの両目が大きく見開かれた。 彼にはその機体に見覚えがあった。手足を失い、ボロボロだが……間違いはなかった。 「あの……黒い奴は……!!」 草は枯れ、花は散る(2)へ
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第百十一話 教えてくれ、この世界の真実を 投稿者:兄貴 投稿日:10/06/12-09 12 No.4349 その者は、地獄の鬼と螺旋の男の衝突に突如割って入った。 鬼の狂気と男の魂のぶつかり合いに、倦怠の滲み出た表情でいとも簡単に止めてしまった。 この事態に驚くよりも、むしろ愉快に笑うユウサ。 「ひはは、こいつはとんだ大物だ・・・魔法界に轟く首都の参謀にて大将軍・・・不動のアムグ・・・」 這いつくばりながら、現れた小さな獣人を見上げるシモン。 「アムグ・・・・だと? 確かその名前は・・・・」 両者の思いはそれぞれだが、現れた獣人はようやく口を開いた。 「さて・・・ほう・・・・騒がしい小僧どもだが、それに見合うだけの物は持っているようじゃな。少なくとも半端者ではなかったか。じゃが、場の空気を読み切れんようではまだまだじゃな」 シモンとユウサを品定めするかのように見つめてくる、獣人アムグ。 この事態にシモンはまだ頭がついていかない。現れた獣人は敵なのか? それとも味方なのか、判断がつかなかった。 「ひはははは、もう会えねえかと思っていたが、アムグじいさん。引退してチコちゃんの祭りにも来なかったアンタが、こんなところに何しに来た~?」 まだ思考が追いつかないシモンに変わり、ユウサが先に口を開いた。 「ふん、・・・そうか・・・爆乱の小僧のバカな祭りには貴様も絡んでおったか。だが残念じゃったな。そんなものに参加する元気など既にないわ。それに引退したと言ってもワシはちゃんと仕事を持っておる。現在のワシの肩書は、首都大監獄の署長じゃよ」 「へっ、灯台下暗しだな。まさか地獄の門番になってやがるとは予想外だ。紅き翼の所為でアリカ姫処刑失敗の責任を取らされて将軍をクビになったとは聞いたが、くっくっく、天下りはよくね~ぞ~? 現実世界でも問題になってるからな」 他愛のない雑談を交わす二人は顔見知りなのだろう。 「グワハハハハ、文句を言うのはいつも何もやらぬ者たちじゃ。自分が同じ立場ならするというのに、人間とは身勝手なものじゃて」 「なんだよつまらねえな~。チコちゃんのような懐かしいものを期待したが、所詮は野心の無くしたジジイか・・・ガッカリさせてくれやがる」 しかし、間柄が良好である様子でもない。 「それで・・・・ジジイ・・・・くくく・・・何しに来た~? 新たな時代に、やる気のねえ旧時代の遺物が出てくるんじゃねえよ。踏み潰すぞ~?」 その時、シモンは張り詰めた空気に鳥肌を立てた。 それは、先ほどまで自分に向けられていた強烈な悪意の篭った殺意。この場に居ることすら苦痛に感じる禍々しい空気。 だが、それほどの殺気を正面から受けても・・・・。 「な~に、終幕の場ぐらい立ち会おうかとな。そして・・・・ちょっと気になることがあってのう。少なくとも貴様に用はないぞ。のう・・・小鬼よ?」 アムグは軽く受け流した。 そしてその一言が、更に場の緊張感を高めた。 「へっ、余裕じゃねえか~! だが、テメエごときがこの俺と対等ぶるのはいただけないね~」 「・・・・む・・・・」 「ッ!?」 ヘラヘラしていたユウサから突き刺さるような殺意の篭った覇気と笑みに、身動きの取れないシモンは意識を正常に保つだけで精一杯だった。 「正直俺はテメエをある程度は認めていたのだ。大戦期は紅き翼どもに圧倒されていたかも知れないが、それでもテメエだけは奴らと何とか対抗できていた。正義の味方共の演出を盛り上げる脇役としてな! だから随分と楽しませてくれた礼だ! せめてこの俺の手で引導を渡してやろうか?」 地獄の瘴気が再び漏れ出した。「やる気だ」シモンは即座に感じ取った。 だが何も出来ない。ユウサはいつの間にかシモンを忘れ、現れた獣人しか視界に入っていない。 しかし・・・ 「ふん、言うではないか・・・青山家だけでなく、・・・テンジョウ家からも尻尾を巻いて逃げ回っている小鬼が生意気言いおる」 その地獄の瘴気を正面から受けても、アムグは物怖じ一つしなかった。 突き刺さるユウサから漏れる空気に対して・・・・ 「まったく、反吐が出るわい。昔から変わらぬということは成長しておらんということじゃ。貴様は所詮幼稚で程度の低い小悪党のままじゃ。」 「ア゛?」 アムグから漏れ出す空気は、まるで場を包み込むような大きさを感じた。 この小さき獣人から感じる大きな存在感が、場を埋め尽くそうとした瞬間、アムグは咥えた煙管を手に持ち、ユウサに向けた。 「その気なら構わんぞ? じゃが、・・・・それなりに抵抗させてもらうぞい」 「・・・・・・・・」 お互い一歩も引かぬ論争に、一瞬の間が開いた。 その一瞬にユウサが動き出す・・・・と思ったのだが・・・ 「ふん、・・・・やめとくぜ。戦争以外でテメエと戦っても血が滾らねえ。野心を無くしたジジイの引退試合なんかに付き合ってられるか。そこで黙って終焉を見ておくことだな」 状況は一転してユウサは急に肩の力を抜き、殺気を抑えて両肩をすくめて笑い出した。 「ほう、賢明じゃな。まあワシも至極の歴史の幕引きの相手が貴様というのは耐えられんからのう」 場の空気が一転して普通の状態に戻った。てっきり戦闘が始まると身構えていたシモンは少し意外に感じていた。 (何なんだよこいつら・・・) そして、気に食わないものは躊躇なく殺すであろうユウサが相手の挑発に乗らずに戦闘を回避した。 それは本当に興味が失せたからなのか、それとも戦闘を避けたかったためなのかは分からない。 だが少なくとも、このやりとりにおいてシモンはアムグが只者でないことを再認識したのだった。 「さて、ようやく本題に入れるのう」 一言はさみ、僅かな間を置きアムグはゆっくりと口を開き、視線をユウサから別に向ける。 「終焉を見送るためとはいえ、何故こうしてワザワザ姿を現したのかというと、・・・・・そこにいる若造に少し用があってな」 「・・・えっ?」 視線を流すアムグの瞳には、床に倒れているシモンが居た。 アムグの視線につられてユウサもシモンに視線を向ける。だが急に振られて少しシモンも戸惑ってしまった。 すると、そんなシモンを見ながらアムグがその口を開く。 「こうして会うのは初めてじゃが、ワシは例の映画も拳闘大会も見た。・・・・貴様が噂のシモンじゃな?」 「・・・・・ああ・・・・・」 確認するかのような問いかけに、シモンはただ頷くだけしか出来なかった。 だがそれだけでアムグは小さく「そうか」と呟き、少し遠くを見つめるような、そして何か懐かしいものを思い出しているかのような瞳でシモンに語りかけていく。 「そうか、貴様か・・・なるほどのう・・・・こうして間近に接するとたしかに身に纏う空気・・・いや・・・雰囲気・・・違うのう・・・何か内に秘める根本的なようなものが・・・あの男と同じ感じがするのう」 「あの男? 根本的?」 「ふっ、根本的にあの男と同じ・・・それは即ち根本的なものが普通の人間とは違うということじゃ。・・・懐かしいのう・・・」 小さく笑うアムグにわけが分からぬシモン。だが、その態度をユウサだけは理解した。「なるほど」と小さく呟きながらほくそ笑んだ。 「・・・・初めに言っておく、ジジイ。そいつとあの男は面識がねえ」 戸惑うシモンに代わり、ある意味この場で全てを知っているユウサが口を開いた。 「なんじゃと?」 意外だったのか、アムグは少し驚きながら、真実を知るユウサに振り返った。 「その男のペンダント・・・・正式名称はコアドリルって言うらしいが、テメエもあの映画を見て気になった口だろ? 残念ながら、そいつとジェノムの野郎・・・そして・・・あの根暗で無表情なジェノムの娘は赤の他人だ。面識もねえ・・・・まあ、・・・・・あの二人に流れる遺伝子だけは同じかもしれねえがな。根本的なもの・・・・流石にジジイの勘は鋭いな」 「どういうことじゃ?」 「ひはは、知る必要もねえ。これから世界と共に消えさるジジイには過ぎた話だ。まあ、テンジョウ家・・・そしてシモン君たちが何者でどこから来たのかを知りたければ、もう少し消えずにいることだな。いずれこの俺が世界中に教えてやるつもりだからよ! もっとも出来ればの話だがな。ひははははははははは!」 ユウサはまるでアムグをあざ笑うかのように、嘲笑した。 その言葉に不快な表情を見せて、アムグは眉を顰める。そしてしばらくシモンを見つめ、残念そうにため息を吐いた。 「そうか。新人類の秘密を消える前に知れると思ったんじゃが、そうはいかなかったか」 「新人類?」 「ワシがかつて唯一敬意を表した人間。覇王の器を持ち、圧倒的力の前に多くのものをひれ伏せさせ、その強大なカリスマで多くのものを引き寄せた。魔法は一切使えぬが・・・・ただの野蛮な人間ではない。そう・・・貴様と似た螺旋の光を発していたのう。名は・・・ジェノム・テンジョウ・・・」 「コ、コアドリル・・・・俺と同じ・・・螺旋の光・・・・・・・・!?」 そのとき、一つの言葉が頭を過ぎった。 「・・・まさか・・・・・!?」 螺旋族・・・ シモンの頭の中で不意にその言葉が流れた。 先ほどのユウサの話、そして今のアムグの話。それが真実だとしたら、自分の考えは間違っていない。 自分以外の螺旋族がこの宇宙の地球に居たのか? 「おい・・・・・・お前・・・・・」 「・・・ユウサだ・・・俺の名はな~」 全てを知るこの男の名を今はじめて聞き、シモンは痛んだ体をゆっくりと起こしていく。 話が長かったこともあり、少しは体が回復してきた。ソルバーニアを杖代わりに無理やり体を引き起こし、シモンは問わずにはいられぬ疑問をぶつける。 「そのジェノムって男は・・・まさか・・・」 シモンの問いに、ユウサは「にや~」とうれしそうに笑みを浮かべた。 「さ~? だが・・・今は奴の娘が管理しているが・・・・たしかにテンジョウ家にはコアドリルがあったぜ!!」 「バ、バカなッ!? 俺以外の螺旋族が居るわけ・・・・・いや・・・・でも・・・」 自分以外に居るはずが無い・・・とは言い切れなかった。 それは顔神遺跡にあったラガンが証明している。 「その通り、お前の宇宙にはかつて多くの螺旋族がいた。そしてかつて螺旋王の率いた銀河螺旋軍の戦士たちの大半は宇宙の海に沈んだ・・・・だが・・・例外も居た。お前さんの存在と顔神遺跡がそれを証明した」 ユウサの言う通りだ。 かつての螺旋族とアンチスパイラルとの戦いから逃れようとした螺旋族たちが、他にも別次元の宇宙へ跳んでもおかしくは無い。 ラガンの無いシモンが生身で出来たのだ。 ラガンを保有していたかつての螺旋族が自分より以前に、この次元の宇宙に来ていたとしても不思議ではない。 「まあ、顔神遺跡のラガンが何故この世界・・・というよりも火星に現れたのかを考えると、1000年続くテンジョウ家の真相も見えてくるってものだ」 テンジョウ家というものをシモンは知らない。しかしユウサの話は筋が通っている。 「なんてことだ・・・・アンチスパイラルから逃れた螺旋族がこの宇宙に流れていたなんて・・・・・」 自分は新たな世界を掘り当てたと思っていた。しかし真相は違った。自分よりも遥か昔より螺旋族はこの異なる次元の宇宙に訪れていたのだった。 そして・・・ 「・・・ん? ・・・・・火星?」 そこにはもう一つの真実も隠されていた。 「ん~? なんだ~今更。それとも気づいていなかったのか? 冒険王は既に感づいていたと思うぞ~」 ユウサが先ほどサラッと口に出した言葉。その言葉が今になってシモンの意識を引き止めた。 「火星? いや、・・・でも確かに顔神遺跡の中にあったラガンには・・・銀河螺旋軍の・・・火星・・・戦士って・・・・」 顔神遺跡でラガンを見つけたとき、コクピットの中で眠っていた骸の傍に刻まれていた遺言のような言葉。 「ふっ、ありえねえことなんて、ありえねえ・・・・君の想像通りだよ、シモン君」 ラガンの中の亡骸とコクピットに刻まれた文字、あの時は記憶喪失だったこともあり、意味は理解できなかった。 だが、今なら出来る。 「・・・・・そういうことか・・・・・・・多元宇宙の母星の地下に螺旋の力封じ、ここに眠る・・・か・・・・そうか・・・アンチスパイラル・・・いや、あの時暴走したロージェノムから逃れるために・・・・」 螺旋界認識転移システムでかつての惨劇から故郷へ逃げようとした。しかし、当時の銀河での戦いの波動により空間や次元の壁が歪められ、この星に来たのだろう。 火星戦士が記した多元宇宙の母星・・・・つまり・・・・ 「魔法世界なんていうから誤魔化されていた・・・・・ここは火星なんだな?」 火星・・・・ そういうことになるのだ。 ようやくその答えにたどり着いたユウサは、人をバカにしたかのように笑った。 「お利口さん。よく出来ました♪ しっかし、ある程度予想はしていたが、このラガンの中に1000年前の螺旋族の遺体があったとはな。さっさと開けて引きずり出してやりたいものだな~」 「無理だ、お前に開けられるものか! ラガンは他のガンメンとは違う! 螺旋力を使えなかった時は、俺にも使えなかったんだ!」 「出来るさ! 螺旋力に反応するんだったら、ジェノムをうまい具合に利用すれば何とかなりそうだ。玩具で遊ぶのはその後だな」 「ッ!?」 不可能ではない。 コアドリルが無ければラガンは動かせないであろうし、仮にコアドリルがあったとしても螺旋力が無ければ使いこなすことは出来ない。 だが・・・・・ 「確かに俺にはラガンを動かせない・・・・だがな・・・・アテはあるんだよ。ラガンを動かせる人間のアテはな」 もしコアドリルがあり・・・・ 「まあ、そいつと俺は仲が良いわけではないがな。だが、俺がこだわるのは俺がラガンを使うことじゃない。俺が創り出す地球史上最大の戦争を盛り上げる要因として、そこにラガンが居るかどうかだからな」 螺旋力を持っているものが自分以外に居たとしたら・・・・ そしてユウサの計画通りに世界に自分たちの物語が流されてしまえば・・・ 「ふっふっふっふっ、地球の表の世界は君たちの世界ほどではないにしろ科学の力で埋め尽くされている。・・・・ひははははははは、ラガンと相性バッチリのメカだってある。君だってモルモル王国の兵器と合体したことあるだろ~?」 確かにこの世界でモルモル王国の科学技術の結晶とも言えるメカタマとシモンは合体した。ブータも螺旋力を駆使して、サラと共にメカタマをパワーアップさせた。 つまり螺旋の力とこの宇宙の科学の力は十分に相性が良いのである。 それを思い出した瞬間、ユウサが企んでいそうな考えたくも無い最低な道がシモンの頭の中に浮かんだ。 「ジェノムの野郎に使わせるのは腹立たしいが~・・・それはそれで面白そうだ。倦怠の海に沈んだ螺旋王とは違う。超攻撃的で勇猛果敢な覇王が天へと駆け上がる! そしてその姿を見て世界が変わる! それに対抗するのは残された魔法使いたち! しかしここで乗り出してくるのが野心を持った魔界の住人共! 戦の渦中にラガンが居れば、テメエも参加せずにはいられまい! くくく、見えてきたぜシナリオが!」 ユウサには螺旋力が無いから、仮にラガンを奪ったとしても使用することは出来ない。だが、螺旋力を使えるものなら話が別だ。 そしてこの男は、ラガンを戦いを盛る上げるために使えさえすれば、誰が使うことも厭わないのだ。 ただ、誰が使ったとしても楽しければいい。そういう男だからこそ、最初はシモンに話を持ちかけたのだ。 「ッ、こ・・・・このッ!!」 ただ楽しむだけ。 たったそれだけのために多くの者の未来と世界の命運を賭けるのだ。ある意味、これほど見過ごせぬ純粋な悪意は無い。 シモンにも見えてきた。 「それだけのためにお前はラガンを!?」 「ひはははははは、全ては楽しき世界のためだ! シモン君、家族とのんびり過ごしているときのお前さんより、命懸けの道を歩んでいるときのお前さんのほうがよっぽど輝いていたぜ! 俺が再び取り戻させてやるよ!」 見えたのはあまりにもくだらない・・・・ 「そんなことのために・・・・・」 バカみたいなこと・・・・ 「そうさ。そんなことがこの世で一番重要なのさ! かつて無い規模で巻き起こる地球大戦争! 地球史に残る舞台をこの手で創れるなんてゾクゾクするじゃねえの!!」 「ッ!? ふざけんじゃねえ!!」 「オッ!?」 軋む体の痛みに堪えながら、ドリルを突き出しユウサへ衝撃波を放つシモン。 「ほっ! やりおるのう」 振り絞る螺旋力に怒りを込めた一撃にユウサはその身を弾き飛ばされた。 変身により肉体を大幅に強化させたユウサにはそれほどのダメージは無いだろう。 しかしここまで追い詰められても、未だにこれほど力を残していたシモンに多少は驚いたようだ。 いや、残された力だけではない。 むしろ少しずつ回復してまた漲ってきているようにも見える。 「この宇宙はたしかに俺には関係なかったもしれない。でもな、もう関係しちまった!! この世界にも地球にも、厚い繋がりを俺はもう持っちまったんだよ! そして何より、ネギの親父さんやラカンたちが・・・命懸けでネギたちのために残した道をお前なんかが壊すっていうんなら、あいつらのダチとして見過ごすことなんて出来るわけがねえんだよ!!」 舞い散る埃を爪で引き裂き、鬼は牙をむき出した。だが、対するシモンも今更牙の一つや二つで怯みはしない。その手のドリルは真っ直ぐとユウサを射抜いている。 「やっ・・・りやがったな~、コラ♪」 「そしてラガンもだ! お前なんかがそいつを使って、俺と超の居る未来へと続く道の間に立つんじゃない!」 「・・・ひははは・・・なら・・・変えたければ、俺に勝ってみやがれい!」 「当たり前だア!!」 上等だと言わんばかりに、シモンはソルバーニアを構えてユウサへと飛び掛る。 血を噴出しながら、血まみれとなった衣服を身にまといながらだ。 しかしその背中のグレン団のマークはどれだけ血が染み込もうとも、輝きを失わずに、今のシモンの気持ちを表すかのように熱く滾っている。 その滾りを狂喜乱舞しながら迎えるユウサ・・・だが・・・ 「ふう・・・・・・・・重力領域(グラビディ・ゾーン)!! 10倍!!」 「「ッ!?」」 真っ向からぶつかり合おうとした両者の気迫が、突如上空から降り注ぐ、押しつぶすようなプレッシャーにかき消された。 「ちッ!」 「これは!?」 それは大げさなどではない。気づいたときには、自分たちの体が強烈な重さに押さえつけられていた。 「な、・・・なん・・・!!」 「ひっ・・・は・・・・ジジイ・・・てめえ・・・・」 自分の体が地面にめり込むぐらいの重さで押さえつけられ、途端にシモンも、そしてユウサもその場で一歩も動けなくなってしまった。 「うるさいガギどもじゃ。少しは口と手を押さえよ」 すでにボロボロのシモンは体に感じる負担に苦痛の表情を浮かべ、そして常にヘラヘラとしていたユウサからは笑みが消え、代わりに舌打ちが漏れた。 「ふふん、ワシの能力を忘れたか? 重力魔法を操るのは貴様やアルビレオ・イマだけではないぞ?」 「・・・のやろう・・・・・・・」 「う、・・・動け・・・・」 動けない。 「この領域内はワシ以外のものは、強力な重力によって押し潰される。不動のアムグ・・・・相手を不動にさせる・・・グハハハハハハ、少しは堪能したかのう?」 少しでも気を抜けば簡単に地面に倒れて押しつぶされてしまうかのような感覚が、両者に襲い掛かっていた・・・・が・・・・ 「・・・ぐう・・・お・・・くっそーーーーー・・・・・って、ひはははははは! なんちゃって♪」 「うおおおおおおおおおおおおッ!!」 なんと押し潰されるかと思っていた両者がその場から軽々と飛び上がった。 「!?」 ユウサもシモンも強力な重力領域の中とは思えぬほどの動きだ。 「ひはははははは、たかが10倍なんざ俺に効くかア!!」 ユウサにはそもそもこの程度の重力変化に押し潰されるほど弱くなく・・・ 「ソルバーニアがあれば・・・・これぐらいなら・・・・少しはッ!!」 そしてソルバーニアはシモンへの体の負担を最小限にするよう重力制御のようなものが備わっているのがネギとの戦いのときに分かっていた。 いずれにせよ、これで押し潰される二人ではなかった。 だが・・・・ 「まったく、これだから鬼も人間も野蛮じゃというのに・・・・なら・・・重力100倍!!」 「「ッ!?」」 今度は更に強力な重力場を展開させ、強烈な重みが二人に襲い掛かり、二人の重みにより地面に亀裂が走った。 「!?」 「―――――――――ッ!?」 態度は余裕だが、今度は素直に動くのをやめ、ユウサはその場で立ち尽くす。 そしてシモンはついに方膝を地面に付け、アムグの強力な重力攻撃に押さえつけられてしまったのだった。 「やれやれ、じゃからやめろと言うとるではないか」 呆れたように煙管の煙を吐き出しながら、アムグは重力を弱める気は無い。 「ぐっ・・ぬぬぬぬ・・・懐かしいね~。これで相手を動けなくしてジワジワと甚振ったり押し潰したりするセコイジジイだったなッ!」 「お、おも・・・・・く、動けない!?」 「まあ、落ち着け。貴様らの喧嘩は規模が大きく邪魔になる。これからこの世界は歴史の分岐点に差し掛かる。つまらぬ喧嘩は帰ってからすることじゃな。もう・・・・時間じゃ・・・見よ、とうとうこの時が来たようじゃ」 アムグはまるで聞かん坊の二人をあやすかのように、二人をなだめようとする。 しかも相手はシモンとユウサの二人だ。 二人まとめて大人しくさせるこの獣人もまた、脅威的な存在と言えた。 「あ~あ、邪魔してくれちゃってま~。だが、夢中になっていて気づかなかったな。たしかにそろそろのようだな。懐かしい奴が・・・・コソコソ動いてるな・・・・」 これほどの重力場の中だというのに、ユウサは軽口で両肩を竦めた。その視線の先にある何かを見つめながら・・・ 「な、・・・・なんだ?」 その視線を追ってシモンもその方角を見ると、そこには・・・・ 「な、・・・なんだ・・・・あの化物は!?」 その視線の先には巨大な黒い・・・・怪物? ・・・・化物? 形容の仕方が思いつかないほど、しかし誰の目からも伝わってくる巨大な闇を纏った怪物が、数多の触手と巨大な腕を広げて、オスティア総督府全土を包み込んでいた。 「どっ・・・どこから・・・な、なんであんなものに気づかなかったんだ!?」 あまりにも巨大で、あまりにも突然に現れた怪物にシモンは驚きを隠せないのだが、アムグとユウサは大して驚いた様子は無い。 「ほう、何やら懐かしいものじゃのう。まだしぶとく生きておったか」 「へっ、しかも・・・・既に『鍵』は持っているようだな。ジジイ・・・・あれほどのレベルの奴が裏技使うんだ・・・・今奴と戦ったら・・・・消えるぜ?」 「・・・ふん、言われんでも承知しとるわい。しかし『鍵』を持っているということは黄昏の姫巫女は手の内ということじゃ・・・・・・どうやらガトーが命を賭けたのも今となっては無意味じゃッたな。元老院共がアリカ姫を謀略の罠に嵌めてまで手に入れようとした姫巫女・・・ガトーや千の呪文たちが命を賭けた娘・・・一度見ておきたかったがのう」 「ガトー? ・・・・・・っていうか・・・・ひははははは、どうでもいいがこの重力場を解いてくれねえか? もう喧嘩しねえからよ、ひはははは!」 現れた巨人を悠然と眺めながら呟く二人。 その巨人は今にもその巨大な腕を持って、多くの人や自分の家族に仲間たちがいる総督府を押し潰そうとしている。 だがシモンも、自分を抑える重力場の所為と、あまりにも急展開過ぎる状況にまだ頭がついていけなかった。 「もう、・・・・何が・・・・どうなってるんだ!? くそッ! 美空! ココネ! シャークティ! ・・・・・・みんな!・・・・・」 こうしている間にも世界は確実に終わりが始まっていた。 「ぐっ・・・うぐぐぐぐ・・・・動け・・・動けよ・・・」 「おっ!」 「!」 だが、例え世界が滅びに向かおうとも・・・・ 「こんなプレッシャーがどうした! 俺が背負ってきた物の重さは・・・・・」 それでも足掻くのが・・・・ 「ひはッ♪ サスガ!」 「なんと!?」 この男だ! 「こんなもんじゃねえんだよォ!!」 100倍を超える超重力の圧力に抑えられようとも、決してシモンは押し潰されずに少しずつだか膝を伸ばし、立ち上がっていく。 ユウサにやられた傷や、強くかみ締めた唇から血が噴出しても、拳とソルバーニアを握り締め、立ち上がる。 だが・・・・ 「やれやれ・・・では・・・重力場・・・・解除・・・・」 「―――ッ・・・・ッッッ!!??」 「ッと・・・解けたか・・・だが、エゲツないね~、人間のシモン君には耐えられまい」 アムグがポツリと一言漏らした瞬間、場を覆い、シモンとユウサを押さえつけていたはずの高重力場が一瞬で消えた。 「こ、・・・・がはっ!」 だが、その瞬間シモンは自然と口に手を当てた。そしてその手に、真っ赤な塊を吐き出した。 血だった。 「無駄じゃ、貴様ら人間はデリケートに出来ておる。急激な重力の変化に内臓が耐えられんのじゃ」 外部の傷だけでなく、内部にも多く負荷をかけ過ぎた。ついにはそれが内臓を傷つけるまで至ったのだ。 「残念ながら気合の話ではない。人体の構造上避けられぬことじゃ」 意識が遠のく。 沸きあがった螺旋力の全てを停止させ、まるでエネルギーの失ったメカのように身動き一つ取らずに倒れてしまった。 「しばし待て。その時には全てが終わっておる」 倒れたシモンへ言葉を投げかけるアムグ。 「ひはははは、おやすみシモン君。中々楽しかったぜ」 そして、重力場から開放され、シモンとは違い強力な肉体を誇っているために急激な重力変化にも何ともないユウサは、ニヤニヤと笑いながら倒れたシモンの横を通り過ぎ、転がっているラガンをポンポンと叩きながら、シモンに振り返る。 「まあ、・・・ラガンは・・・俺が有効に利用してやるよーーーッ!! ひは・・・ひはははは・・・・ひはははははははははは!!」 この笑い声はシモンには届かない。 「そして映像もな! 天元突破グレンラガン、地球全土同時公開はもう少しだけ待っていてくれよな! ひはははははははははははははは!」 だが、この男との因縁は今この瞬間を持ってハッキリと結ばれたのだ。 この場で決着を付けられなかったシモンとユウサ。それが果たして良かったのかどうかは、次に二人が再会するまで分からなかった。 「ひはははは、さて、俺は行かせてもらうぜ。最後に軽く挨拶してから現実世界に帰らせてもらう」 「・・・現実・・・のう・・・」 「ああ。ジェノムの野郎に会ったらテメエのことは言っといてやるよ」 終始笑みの耐えなかったユウサ。 その底を見せぬまま彼はこの場から消え去る。 「それじゃあ、アバヨ、ジジイ!」 アムグは何も答えない。 例えこれが今生の別れとなったとしても、何の名残も感じさせず、この男にはさっさとこの場から消えろというような態度でソッポ向いた。 その態度に嘲笑しながらユウサは闇の中へと消えて行ったのだった。
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このウィキを、潰そうと政府の工作員が送り込まれているのはご存知だと思います。 以下のような、不適切な荒らし記事が多く作られました。 多くが、反政府の人々や、「ポリコレ(反白人貴族論)」を冷笑する内容であり、 DSアメリカ白人貴族の犬である、自民党とその信者の、 白人の世界支配を応援する、思想が透けて見えます。 これらは、自民党工作員や、その飼い犬であるネトウヨが作成したページであり、 当ウィキの意識ではございません。 https //w.atwiki.jp/shinjitsuwiki/pages/86.html https //w.atwiki.jp/shinjitsuwiki/pages/92.html そして、編集者のIPアドレスを調査した所、事実が明らかになりました。 霞ヶ関からの書き込みであったのです。 自民党は、『内閣情報室』というネット工作部隊で世論操作しており、 ロスチャイルドなどの白人支配を応援する、「アンチポリコレ(白人優勢論)」世論を形成し、 不当な工作でこのウィキの真実を届きにくく、検索順位を低下させています。 その内閣情報室の本部が、霞ヶ関に存在します。 映画「新聞記者」でも描かれた真実です。 陰謀論ではなく、真実です。 内閣情報調査室、インターネットでの情報収集を認める https //it.srad.jp/story/20/07/02/1644204/ 自民党工作員自らが、荒らしに来る。 それは、このウィキが奴等にとって都合悪いと言う、証明です。 見ているか自民党工作員!国民はお前を断固否定します!
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タルサラの戦い イベントタルサラの戦いの攻略メモです。 イベント内容 一定時間魔方陣をモンスターから守るイベントです。クリアまで1回30分弱かかります。 失敗条件は制限時間内に魔方陣に50体のモンスターが入ることです。 時間経過するとクリアとなりますが、ボスモンスターを倒しきれなかった場合、宝箱のサイコロはふれません。 報酬 ボスモンスター4体、お宝モンスター4波を倒すことによりルーンや強化石がランダムで出るお宝箱を入手できます。 ドロップアイテムは材料のみ。 攻略 全部で51波からなるモンスターの群れをひたすら倒すだけです。 15、30、45、51波にお宝モンスターが出ます。間隔は8分弱ですので、放置の目安に。 回数ごとに敵がどんどん強くなります。敵からの被ダメが1を超えだしたら限界だと思ってください。 基本的にPTイベントですが、人数が多くてもおいしくないです。 70装備をある程度強化すればイージーソロ攻略が可能になるので、お宝モンスターまで戦えるならソロのほうがおいしいです。 人数を増やしても、同じくらいの強さだったら耐えれる回数はそんなに変わらないので。 戦略 特にないですw 『お宝モンスが来たらメテオ』でおk 敵一体倒すごとに怒りポイントが1溜まり、100になるとメテオが使えます。魔方陣に敵が入ると1体につき4ポイントたまります。 ギリギリクリアできるレベルならトラップ等をいろいろ考えてもいいかもしれませんが、基本的には不要です。 長くてかったるい時は イージーソロ攻略が可能ならノーマルの2F(30回)ハードの1F(15回)まではどうにかなります。 ハード15回攻略は最初のボスまでにメテオをためてボスと群がる雑魚モンスターに使い、15波のお宝モンスターまで逃げて、お宝モンスターを殲滅、宝箱を取ったらとっとと離脱です。ルナティックも基本的に同じことができます。 ボスモンスターまで1ダメージで耐えれることとメテオをためれることが条件になります。
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「我が主よ。忠告する。 この戦争の未来に勝利はなく、栄光はなく、幻想はない。 全ての歯車は狂い、理と法は崩れおちる――」 彼女――アヴェンジャーは、自らのマスターに静かに継げる。 神に授かりし予言の言葉を。 先見という災厄が悲運しか招かぬことを知りながら、 それでも、カサンドラは告げずにはいられないのだ。 絶望に満ちた未来を。 「…ほう、貴様は神話にその名を馳せる浮気神。 隠しても隠し切れぬ駄目親父っぷり、妻の目を逃れてこの地まで指を伸ばしてきたか」 「若き人の子の中にも、貴様のように伝説まで駆け上る女好きが現れるか。 良かろう、人が年月を重ね、どれほど我が領域まで手を伸ばしたか――確かめて見せよう」 神話に名を馳せるアサチュンと、人のまま伝説となったアサチュン。 2人の男達の戦いが夜の闇と光の中火花を散らす。 そして、そんな男達の戦いを見つめるのは、 逆さ吊りされた隻眼の男――。 「仮にも主神と呼ばれた神霊が一同に会したというのに、 あいつはこちらを見る気すらないのか?」 「いや、待っているぞ? 釣られた男。 貴様が性転換するその時を」 「アッー!?」 「魔女よ。貴様に黙示録の呪いがあるというのなら、 我ら円卓の騎士にも逃れられぬ宿業がある。 ――貴様とて、不味く調理してみせよう。ゼリー寄せとか」 「あら。真に聖杯を見出した純白の騎士が、この壊れた聖杯戦争に現れたかと思えば ――ふふ、良い男に詰め寄られるのは、嫌いじゃないわ」 それは、白と黒、聖と魔、高潔と堕落の対峙であった。 飽食と好色、大罪に塗れた呪いじみた臭気を、赤十字が描かれた純白の盾が浄化していく。 禁欲、それは騎士の根本にして、今もなお彼の大地を縛るもの。 「貴方のような男こそ、今宵の相手に相応しい。 愚かしくも狂おしく、我らと共に遊びましょう」 「戦を忘れ、狂気を忘れ、遂に平穏を得ても、 それは一時のことに過ぎぬのか――」 湯煙の中、戦いに疲れた戦士が天を仰ぐ。 その視線の先には炎の翼を持つ戦乙女。 「さぁ、戦いは始まりました。 アインヘリヤルよ、英雄よ。 我が主神の名の下に、私とともに戦い、そして死になさい」 「断る。 すでに、その名は捨てた。 全ての名は、捨てた。 ここにいるのは、一介の番台の主、安息の地を守るものだ!」 海は荒れ狂っていた。 波が白く泡立ち、凶悪な牙のような暗礁が牙を向く。 しかし、そのような狂った海を、征服出来ずとして、何が船の英霊か――! 「……いや、流石に危険じゃないか? これ」 「黙ってダンボールでも被っていなさい。 ――感じるのよ。あいつの、気配を」 大神が宿る聖樹によって生み出された自分の予感が、外れることなどありえない。 果たして、彼女はそこにいた。 波打ち付ける黒い岩の上、楽しげに歌う少女。 「あら? 知っていたのかしら? 英雄の船。 私が、貴方を呼んでいたことを」 「久しぶりね。 私が、貴方を征服して以来かしら?」 「そうよ。でも、最早、あの歌の英雄はいない。貴方は一人。 今度こそ、私が貴方を沈めてあげる」 夜空を貫かんばかりの、巨大な影。 それは、全ての男と、そして女にとって、最悪の存在だった。 「馬鹿な。 この基地の結界が、何の役にもたたない、だと」 自分の持つものとは違う、圧倒的な存在感を前に、 同じ剥き出しの名を持つ男は戦慄する。 「さぁ。正義の味方。 どうするのかしら? 正義のために死ぬ? それとも、ここで死ぬ?」 「――悪魔め――」 絶望する男の隣で、 少女が楽しげに囁いていた。 「何だこれは――! 何がどうなっているのだ――!」 「全てが、狂っています。これでは、計算できない」 金剛石の剣がまるまると太った男を砕き、 太陽神の矢がハートのキングを貫く。 諦めぬ男と、万物を計る男は、 それ故に物語に捕らえられ、朽ちていく。 「諦めきれるか、諦められるか――!」 「狂気さえも、計算しつくしてみせましょう」 彼らが物語を砕くのが早いのか、それとも―― 「いそがなくっちゃ いそがなくっちゃ。 聖杯を手に入れて、みんな御伽噺にしなきゃ 悪夢が、目覚める前に」 しかし、全ては手遅れだった。 狂乱と没ネタが繰り広げられる戦争に、 遂に聖杯の中から、 彼ら全てよりも尚も古い、 黒い悪魔が 現れる――。 皆サバ聖杯戦争「ネタ編」 狂気と絶望の果てに、何が待つのか
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「我が主よ。忠告する。 この戦争の未来に勝利はなく、栄光はなく、幻想はない。 全ての歯車は狂い、理と法は崩れおちる――」 彼女――アヴェンジャーは、自らのマスターに静かに継げる。 神に授かりし予言の言葉を。 先見という災厄が悲運しか招かぬことを知りながら、 それでも、カサンドラは告げずにはいられないのだ。 絶望に満ちた未来を。 「…ほう、貴様は神話にその名を馳せる浮気神。 隠しても隠し切れぬ駄目親父っぷり、妻の目を逃れてこの地まで指を伸ばしてきたか」 「若き人の子の中にも、貴様のように伝説まで駆け上る女好きが現れるか。 良かろう、人が年月を重ね、どれほど我が領域まで手を伸ばしたか――確かめて見せよう」 神話に名を馳せるアサチュンと、人のまま伝説となったアサチュン。 2人の男達の戦いが夜の闇と光の中火花を散らす。 そして、そんな男達の戦いを見つめるのは、 逆さ吊りされた隻眼の男――。 「仮にも主神と呼ばれた神霊が一同に会したというのに、 あいつはこちらを見る気すらないのか?」 「いや、待っているぞ? 釣られた男。 貴様が性転換するその時を」 「アッー!?」 「魔女よ。貴様に黙示録の呪いがあるというのなら、 我ら円卓の騎士にも逃れられぬ宿業がある。 ――貴様とて、不味く調理してみせよう。ゼリー寄せとか」 「あら。真に聖杯を見出した純白の騎士が、この壊れた聖杯戦争に現れたかと思えば ――ふふ、良い男に詰め寄られるのは、嫌いじゃないわ」 それは、白と黒、聖と魔、高潔と堕落の対峙であった。 飽食と好色、大罪に塗れた呪いじみた臭気を、赤十字が描かれた純白の盾が浄化していく。 禁欲、それは騎士の根本にして、今もなお彼の大地を縛るもの。 「貴方のような男こそ、今宵の相手に相応しい。 愚かしくも狂おしく、我らと共に遊びましょう」 「戦を忘れ、狂気を忘れ、遂に平穏を得ても、 それは一時のことに過ぎぬのか――」 湯煙の中、戦いに疲れた戦士が天を仰ぐ。 その視線の先には炎の翼を持つ戦乙女。 「さぁ、戦いは始まりました。 アインヘリヤルよ、英雄よ。 我が主神の名の下に、私とともに戦い、そして死になさい」 「断る。 すでに、その名は捨てた。 全ての名は、捨てた。 ここにいるのは、一介の番台の主、安息の地を守るものだ!」 海は荒れ狂っていた。 波が白く泡立ち、凶悪な牙のような暗礁が牙を向く。 しかし、そのような狂った海を、征服出来ずとして、何が船の英霊か――! 「……いや、流石に危険じゃないか? これ」 「黙ってダンボールでも被っていなさい。 ――感じるのよ。あいつの、気配を」 大神が宿る聖樹によって生み出された自分の予感が、外れることなどありえない。 果たして、彼女はそこにいた。 波打ち付ける黒い岩の上、楽しげに歌う少女。 「あら? 知っていたのかしら? 英雄の船。 私が、貴方を呼んでいたことを」 「久しぶりね。 私が、貴方を征服して以来かしら?」 「そうよ。でも、最早、あの歌の英雄はいない。貴方は一人。 今度こそ、私が貴方を沈めてあげる」 夜空を貫かんばかりの、巨大な影。 それは、全ての男と、そして女にとって、最悪の存在だった。 「馬鹿な。 この基地の結界が、何の役にもたたない、だと」 自分の持つものとは違う、圧倒的な存在感を前に、 同じ剥き出しの名を持つ男は戦慄する。 「さぁ。正義の味方。 どうするのかしら? 正義のために死ぬ? それとも、ここで死ぬ?」 「――悪魔め――」 絶望する男の隣で、 少女が楽しげに囁いていた。 「何だこれは――! 何がどうなっているのだ――!」 「全てが、狂っています。これでは、計算できない」 金剛石の剣がまるまると太った男を砕き、 太陽神の矢がハートのキングを貫く。 諦めぬ男と、万物を計る男は、 それ故に物語に捕らえられ、朽ちていく。 「諦めきれるか、諦められるか――!」 「狂気さえも、計算しつくしてみせましょう」 彼らが物語を砕くのが早いのか、それとも―― 「いそがなくっちゃ いそがなくっちゃ。 聖杯を手に入れて、みんな御伽噺にしなきゃ 悪夢が、目覚める前に」 しかし、全ては手遅れだった。 狂乱と没ネタが繰り広げられる戦争に、 遂に聖杯の中から、 彼ら全てよりも尚も古い、 黒い悪魔が 現れる――。 皆サバ聖杯戦争「ネタ編」 狂気と絶望の果てに、何が待つのか
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ある河港からのオードリー (6) 奥の部屋から、ふたたび姿を見せたオルドリア公姫は美しかった。 まだ朝のうちと言っていい低く明るい日差しの中に、彼女の金色の髪は輝いていた。帝國風の襟まで閉じた貴婦人の装束をつけると、帝國の貴婦人としては短い髪が目立つ。 けれどそれゆえに、オルドリア公姫はだれより彼女らしく見える。マルクスはそう思った。 ただ、帝國風に開いた背中は気にかかるらしい。この年のころの帝國の貴族女性としては、これでよいくらいだろうとはマルクスは思った。 皇帝陛下のお招きはごく内輪のものであるし、そもそもこの装束は皇帝陛下から下されたものだ。肩が見えていようが、背の開きが大きかろうが、とがめるものはいない。 けれど公姫は肩の肌越しにちらりと背をうかがい、それから振り返った。 「やはり肩掛けをください」 「はい、殿下」 そっと掛けられるのは、薄紫の肩掛けだ。透き通る織物で日焼けを和らげる役にも立つまい。だが彼女の金の髪と緑の瞳を良く引き立てた。 その瞳がマルクスに気づき、その姿を写す。 「何か、おかしく見えられますか?」 「そのまま一度、お巡りになっていただけませんか」 言われるままに、オルドリア公姫はその場でくるりと一巡りしてみせる。白の長い裾が動きにあわせてふわりと動く。 「お美しくあられます」 オルドリア公姫はくるりと回る動きを止め、面を上げた。ほんのわずかな間合いを置いて彼女は言う。 「ありがとうございます、騎士卿」 彼女の面にはもはや夕べのような笑みは無い。 報せが来たのは昨夜のうちだ。マルクスが報告を届けていくらもしないうちに、使いのものが公姫の部屋を訪れた。もちろん公姫その人を起こしたわけではなく、側仕えのものを通すかたちの報せだった。すなわち、前室脇の控え室で、一休みの杯を傾けていたマルクスたちのところに、報せの鈴が鳴らされたのだ。 エマ女官は何事も無かったかのように立ち上がり、側仕えのもののための脇扉へと向かっていった。もちろん彼女にもその報せが何であるのか、察しがついているはずだ。 使いのものの口上がマルクスにも小さく聞こえてくる。夜半の訪問を詫び、主様にお知らせいただくのは翌朝になさってくださいと伝え、最後に皇帝陛下のお召しを伝えたのだ。 戻り来るエマ女官の面を見ても、彼女の心のうちはうかがえない。ただ彼女は眼鏡の奥に伏せていた瞳を静かに上げて言ったのだ。 「明日の御前のお茶会に、皇帝陛下はアニア様をお召しになられました」と。 宮廷には宮廷のやり方がある。軍人も近衛騎士も軽々しく踏み込んでよいことではない。だが、それにしても拙速だとマルクスは思った。 オルドリア公姫は、目覚めてすぐに皇帝陛下のお召しを知るだろう。それが是非を言えるものでないことも、公姫にはわかっている。そこから先は、宮廷のやり方で進められる。 今もまたそうだ。目覚めてすぐのオルドリア公姫に皇帝陛下のお召しが示され、またその用意のために女官や諸々の品々を給われるとも知らされた。オルドリア公姫が身に着けている白の謁見装束もまた御賜品だ。ただ品だけが送りつけられてきたわけではない。それを使った謁見のお茶会の用意のために、一個小隊ばかりの女官もやってきていた。 もちろん、オルドリア公姫がそれを拒むはずもない。だからといって、怒りを抱かぬほど鈍いひとでもないのだ。抗わぬからと侮って、一気の押しをかけてきたことはオルドリア公姫にだってわかるはずだ。 朝食での彼女の振る舞いは少なからず冷ややかであったし、そのあとにはもう役の女官らが部屋へと訪れていた。貴人女性の諸々の用意には、嫌というほど時がかかる。オルドリア公姫は、下着からすべてを新しくしなければならない。もっとも、それらは男の目の触れぬところで行われる。 守り役のマルクスにしても、ただ待つばかりではいられない。オルドリア公姫が皇帝陛下と謁見されるということは、マルクスもまた守り役として彼女に伴い、皇帝陛下の御前に出なければならないということだ。 守り役を解かれぬということは、この場から出られぬということであり、マルクスは使いのものを呼んで、まず近衛騎士団控え室に、続いてそこからレオニダス公爵家の宮廷役へと使いをやらねばならない。そうして謁見のための第一種軍装を取り寄せねばならない。万事がこの通りで、身動き取れぬことおびただしい。 もちろん、それが宮廷というものであることもわかっていた。貴族の暮らしは窮屈だと嘆く庶民芝居は、皇帝陛下がどれほど厳しく守られ、ゆえに囲われた暮らしをしているかおそらく知ることもないだろう。 ともあれ、衣装直しを含めた長い長い待ちの時の間に、マルクスは第一種軍装を取り寄せ、それを身につけた。もちろん、近衛騎士古人第一種軍装ではなく、男性向けのものだ。今はそれが許されている。古人用のあれを身に着けて陛下の御前に出れば、陛下はことのほかお喜びになられるのは間違いない。だが守り役が貴賓より目立っては仕方が無いではないか。 そう己の胸につぶやき、届けられた軍装の包みを開いてみれば、そこにはねぎらいの言葉を書いた紙が、針で止められてもいた。 走り書きの妻の字を見たとき、マルクスは使いのものに何の言伝もしなかったことを思い出したりもしたのだ。だが、それは正しかっただろう。皇帝陛下がケイロニウス一門宗主としての役目を、近衛騎士にしてケイロニウス・レオニダス公爵伴侶マルクスに行わせている。その最中に女公爵たる妻ノイナに知らせを送るのは、うかつなことと見なされるだろう。 皇帝家門であるケイロニウス一門は広く、また様々なものがある。オルドリア公姫もその一人として、これからは扱われることになるだろう。 それを明らかにするのが、これからの謁見なのだ。 帝國での一門のありようを、オルドリア公姫が詳しく知るはずも無い。だが、今、謁見装束を身に着けた公姫の面は冷たく引き締まり、もはや夕べのような和やかさをとどめていなかった。
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P「またアイドル達の乳首の色が気になって眠れない」 執筆開始日時 2012/07/09 元スレURL http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1341844601/ 概要 P「前回は春香、響、美希と失敗してしまったが今日は違う!」 P「このとめどない想いを!彼女たちの決して晒されぬ桃源郷を!」 P「この目に焼き付けるまでは諦めるわけにはいかない!」 P「そろそろ限界だ……早速 5に仕掛けるとしよう」 タグ ^三浦あずさ ^双海真美 まとめサイト 森きのこ!
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人気投票 5段階評価で、5が↑1が↓ 選択肢 投票 5 (0) 4 (0) 3 (0) 2 (0) 1 (0) あくまで個人的なもの 作品ついて、語るなら下で。 目次 『まりあ†ほりっく』とは ストーリー 登場人物主要人物 かなこのクラスメイト 専門用語 サブタイトル&動画 主題歌 関連作品 外部リンク 雑談、その他諸々 『まりあ†ほりっく』とは ミッション系の女子校を舞台に、百合趣味の少女と女装したドS少年を巡るラブコメディ。 『月刊コミックアライブ』(メディアファクトリー)2006年8月号(創刊号)から連載開始。作者としては3つ目の連載作品となる。 著者によれば、企画段階では「男性向けのちょっとHなラブコメ」を想定していたが、コミックアライブ編集部とのプレゼンにてパンチラ描写が満場一致で不必要と判断されたため断念したとのことである。また、キャラクターに関しては、ギャルゲー系のキャラクターのテンプレから少しずつずらして書いている。 [目次へ] ストーリー 編集中・・・ [目次へ] 登場人物 主要人物 +みたいなら押してね☆ 宮前かなこ(みやまえ -) 本作の主人公。2年A組在籍。8月31日生まれ。身長:173cm(物語開始時)。体重:54kg→61kg→57kg。血液型:AB型。視力:2.5。 運命の恋を求めて天の妃女学院に編入した女子高生。なおも成長中の長身とそれに見合うスタイルを持つが、本人にとって身長は寧ろコンプレックスとなっている。触れられると蕁麻疹が出る程の男性恐怖症である一方、美少女に目が無い百合趣味(レズビアン)で(但し、このことは周囲に隠している)、あらゆる美少女を見る度によく鼻血を噴いている。鞠也の正体を知る一方、彼には自身の百合趣味を見抜かれており、先輩でありながら学院内での立場の差などもあって逆らえない他、転入早々クラス委員を任される等、何かと薄幸な目に遭わされている。本作において、鞠也のドSに対して、自身はドMである様な描写がされている。 幼少時、天の妃に遊びに来た事があり、芙美との面識もあるが、本人は記憶に無い。 父親は天の妃女学院の元教師、幼少時に他界した母親は天の妃OG。他に、カリフォルニア工科大学に留学中の「要らん姉」[4]と地元の有名中学在学の「メロメロに可愛い妹」がおり、所謂エリート一家だが、本人は成績不振で、全教科赤点を取った事がある。 主人公でありながら、コミック表紙を一度も飾って無い事をネタにされており、毎回カバー裏の裏表紙でそのことを拗ねているが、巻を重ねるにつれて、寧ろおいしいポジションにいると開き直り始めている。 祇堂鞠也(しどう まりや) 本作の正ヒロイン的存在。1年A組在籍。3月3日生まれ。身長:160.3cm。血液型:A型。視力:2.0。 イタリア人のクォーターで、外見はかなこにとって理想的な金髪にツーサイドアップの可憐な美少女だが、実は男。弓道部所属。編入前、学校見学に訪れたかなこに正体を知られ、彼女を監視する為、強引に彼女のルームメイトとなる(表向きは、隆顕親衛隊からの嫉妬を避ける為とされ、寮長も公認)。以来、彼女を弄り倒して楽しんでいる(本人曰く「女装姿で優等生気取りはストレスが溜まる」)。祖母・イレーネの遺言で双子の妹・静珠と次期理事長の座をかけて、卒業までの3年間両校の生徒全員に本来の性別が知られない様に過ごしている(元々知っていた汐王寺姉弟、編入前に正体を知ったかなこは対象外)。「オカマ、女装趣味ではない」と言うが、それ以前にもした事があり、様々なコスプレを披露するなど女装には気合が入っている。 成績優秀、文武両道、品行方正、人当たりも良い優等生で、中等部では生徒会長を務め、高等部の進学式では新入生代表として挨拶する程の人望を持つが、これらは演技であり、衆目がない所では、ドSで腹黒い本性を露にし、これを知るのは、学院内ではかなこと茉莉花(と、恐らく絢璃)のみ。ただ、身内には甘い。自身の能力や美貌に自覚的なナルシストで洞察力も鋭く、前理事長の孫という身分も含め、目的の為にはそれらを存分に活用する。自宅は学院の敷地内にある大邸宅で、非常に裕福。金と権力を好み、(自分以外の)男嫌いだが、かなこや静珠の様な恐怖症ではなく、興味が無いだけである。実は女装時に名前(身分)も入れ替えており、本名は祇堂静珠である。 汐王寺茉莉花(しのうじ まつりか) 幼少時から、鞠也に仕えるツインテールのメイドで、常に彼と行動を共にしている。9月16日生まれ。身長:162cm。血液型:O型。 かなこが学園内で最初に出会った人物で、出会い頭にかなこを「メス豚」呼ばわりした。使用人の身でありながらかなりの毒舌家で、主人の鞠也を含め誰に対しても辛辣なツッコミや罵声を浴びせるが、鞠也の命令には基本的に忠実に従う。普段はクールな態度だが、必要に応じて演技もこなす。尚、カバー裏では「デレは無い」と自らツンデレを否定している。いつもメイド服だが、実は鞠也のクラスメイト。宝石をこよなく愛し、マイカルタは自分の欲しい宝石リスト(参考価格入り)になっている。家は祇堂家の分家。 アニメでは、「茉莉花」(下の名前)のみクレジットされている。 [目次へ] かなこのクラスメイト +みたいなら押してね☆ 桐奈々美(きり ななみ) ショートカットで物静かな眼鏡っ子。4月16日生まれ。身長:148cm。体重:39kg。血液型:B型。 クールで真面目だが、言動に理解されにくい部分があるため、クラスでは1人でいることが多い。だが、最近ではサチや弓弦と親しくなっている。芙美にかなこのことを頼まれて以来、彼女が困った時には助けに回るが、あくまで頼まれた故の行動であって、本人はかなこを友人ではなく、ただのクラスメイトとしか認識していない。席はかなこの隣。趣味は読書。勤勉そうに見えるが、理系が苦手で追試の常連となっている。 稲森弓弦(いなもり ゆづる) 長い黒髪の美少女。4月25日生まれ。身長:165cm。体重:48kg。血液型:A型。 弓道部所属で、校内でも普段から弓道着で通しており、芙美に指摘されているが、本人は制服だと主張している。物腰が穏やかで優しい性格だが、なかなか芯のある部分も見せる。一見天然だが、どちらかというとツッコミ役で、サチに対して暴走したかなこに張り手をかます等、かなこの扱いも徐々に慣れてきている。サチとは親友だが、彼女と奈々美が仲良くしている事に嫉妬して弓道の腕が落ちるというスランプに陥るも、誤認だったことが分かると思い直し、以降奈々美とも交遊するようになる。 桃井サチ(ももい - ) 後ろ髪を2つにまとめた小柄な少女。7月27日生まれ。身長:152cm。体重:42kg。血液型:O型。 純粋で明るく人懐っこい性格。実家が宝石商を営んでいる為、宝石の知識は豊富。それ以外にも色々なことを知っている。また必要になった物を偶然(?)持っていることが多く、鞠也に「いつでも何でも持っている女」と言われており、本人もそれを自分のアイデンティティと認識している。前理事長の形見のロザリオを鑑定したことがある。かなこを繊細な人だと思い込んでいる。 筒井穂佳(つつい ほのか) 隆顕親衛隊の中心人物。11月19日生まれ。身長:156cm。体重:42kg。血液型:A型。 一ツ橋 瑛(声:伊藤美穂)、羽二重 美衣(声:高梁碧)と共に、かなこへの嫌がらせ(色々な海産物をかなこの机に入れるなど)に精を出す。しかし、美少女大好きなかなことしては是非とも仲良くなりたい相手。一度は和解するが、その後の隆顕の行動が裏目に出て、再び仲がこじれる事となる。ただ、致死量の血を噴いたかなこに生レバーを送るなど、憎からず思っている模様。ツンデレの気質があるが、意外と優しい面もある。 [目次へ] 専門用語 編集中・・・ [目次へ] サブタイトル&動画 話数 サブタイトル Veoh Daily wat Ku6 新浪 Pan daum MEGA You Say 第1章 戯れの接吻 Veoh Daily wat Ku6 新浪 Pan daum MEGA You Say 第2章 甘美な疼き Veoh Daily wat Ku6 新浪 Pan daum MEGA You Say 第3章 被虐の若芽 Veoh Daily wat Ku6 新浪 Pan daum MEGA You Say 第4章 悦楽の代償 Veoh Daily wat Ku6 新浪 Pan daum MEGA You Say 第5章 禁断の匂い Veoh Daily wat Ku6 新浪 Pan daum MEGA You Say 乙女の秘蜜 第6章 倒錯の保健室 Veoh Daily wat Ku6 新浪 Pan daum MEGA You Say 第7章 疑惑の黒下着 Veoh Daily wat Ku6 新浪 Pan daum MEGA You Say 第8章 穢された聖母・前編 Veoh Daily wat Ku6 新浪 Pan daum MEGA You Say 第9章 穢された聖母・後編 Veoh Daily wat Ku6 新浪 Pan daum MEGA You Say 妄想の果てに 第10章 微乳の過ち Veoh Daily wat Ku6 新浪 Pan daum MEGA You Say 伯林の恋文 第11章 神への供物 Veoh Daily wat Ku6 新浪 Pan daum MEGA You Say 最終章 夢のプール開きのおはなし Veoh Daily wat Ku6 新浪 Pan daum MEGA You Say 鼎神父、再びのおはなし 新たなる挑戦者のおはなし 名探偵かなこ、最後の事件のおはなし ゴッドの夏の想い出のおはなし プールの授業はこれで最後のおはなし 女だらけの水泳大会のおはなし [目次へ] 主題歌 編集中・・・ [目次へ] 関連作品 編集中・・・ [目次へ] 外部リンク テレビアニメ公式サイト テレビアニメ公式サイト (TOKYO MX) 遠藤海成マニアックスキャンペーンブログ アニメイトTV WEB -まりあ†ほりっく Webラジオ「天の妃放送部」- メディファクラジオ まりあ†ほりっく 天の妃放送部 [目次へ] 雑談、その他諸々 名前 コメント すべてのコメントを見る [目次へ]
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月明かりに照らされた石造りの河岸をふたつの影が歩いていた。 河を越えた先、遙か東岸に広がるだろう古都ローマの遺跡や町並みは夜闇に深く沈み、水底の見えない深い河は音もなく静かに流れている。 この夜が永遠に続きそうな錯覚さえする、静かな世界。 ふと、ふたつの影のうち、闇よりなお暗い気配を持つ男が気まぐれのように呟いた。 ――色々な文献を読んで興味深く思ったことのひとつなんだが。 ――川は、死者と生者の世界の境目だという。 思索に耽る者特有の緩やかさで、黄金にも似た荘厳なバリトンが闇に溶ける。 傍らを歩く男に向けられているのか、それとも単なる独りごとなのか。判然としないながら、形よく肉感的な唇から詩を紡ぐように軽やかに言の葉が散る。 ――陽の昇る東を生者の都、陽の沈む西を死者の都としたのは古代エジプトの神話だが、キリスト教においても東には特別な意味がある。 ――君は、キリスト教徒かい? 傍らを歩く男――マッシモ・ヴォルペは、突然の問いかけに少し考え込む素振りを見せ、微かに首を振った。否定とも肯定とも取れない、曖昧な仕草。 「そうだ、と言えばそうだし、そうでないと言えばそうではないな」 「答えになっていないよ、マッシモ」 言いながらも、問いの答えに気を悪くした風もない男――DIOは、歩みを止めず愉快そうにマッシモに一瞥をくれた。 妖しく艶めかしい眼差しは、血のように赤く毒のように甘い。心の底まで見透かす、射抜くような視線。 しかしマッシモは物怖じする様子もなく平坦な声で続けた。 「救いもしない神なんぞ信じちゃいない」 「だろうと思った」 気安い友人に向けるように、DIOはくつくつと笑って見せる。月光にけぶる黄金の髪が、青いほど白い頬に細く影を落とす。ある種の宗教画めいたそれにもマッシモは無感動な面持ちを崩さず、のろのろと歩調を合わせていた。 奇妙な関係だった。 ひとつ掛け違えれば、捕食者と哀れな餌という一時的な関係にしかならなかっただろう。 しかし運命はそうならなかった。互いが互いに興味を抱いている、その一点。そしてそのたった一つの引力で、二人は道行を共にしている。 月明かりだけが頼りの散策の道すがら、様々なことをDIOは語った。ときに饒舌に、ときに沈黙を交え。そしてマッシモも、問われては答え、また考えた。教師とその弟子のようでもあったし、友人になる過程を踏んでいるかのようでもあった。 たった三人、血を分けた親兄弟よりも密に支え合って生きていた仲間たちにしか許さなかった心が、闇を纏う美貌の不死王によって少しずつ浸食されている。 そして、その浸食は癒しにも似ていた。乾きひび割れた大地に染み込む水のように、DIOの言葉と思考は全てを亡くしたマッシモの裡にじわりじわりと染み込んでいく。 「DIO。そろそろ目的地を教えてくれてもいいんじゃあないか?」 「おや。とっくに気づいていると思っていたんだが」 刹那、交わる視線。 友人と呼ぶには短すぎる時間、しかし無関係というには長すぎる時間。共にした時ゆえに、マッシモはDIOの言わんとするところを察した。 「この先にある刑務所……か?」 「残念、少し違う」 ――だが、そこに寄ろうとは思ってた。半分は正解だな、マッシモ。 甘い甘い声音がマッシモの耳をくすぐる。酷く耳触りのいいそれを心地よいと感じ始めている自身に、マッシモは薄々気づいていた。 「市街地で見つけられたのは、君と首輪をつけた参加者ひとりきりだ。適当に歩いていれば誰がしかと接触できるかと思ったが、どうも人の気配がしない。手近にある建物から見てみようと思ってね。 本当に誰かがいるかどうかなんて期待しちゃいない。ちょっとした確認みたいなものだよ。 それに、刑務所なんて他に見る機会もなかっただろう?」 ジョークのつもりか、悪戯っぽくDIOが笑いかける。そろそろ、闇の中にもその広大な建物が見え始めていた。 地図からも察せられたが、実物はちょっとしたテーマパークくらいありそうな大きさだ。おそらく街中と同様に人などいないだろうが、あの大きさの建物を調べるのはえらく骨が折れそうだった。 「死ぬより縁がないと思ってたところだな」 マッシモはひとつ息を吐いてひとりごちた。 ◆ DIOがマッシモ・ヴォルペに語った数々の思索と過去における出来事の一端は、真実ではあれど全容ではなかった。当たり前と言えば当たり前だろう、出会った端から一切合切全てを曝け出すなんて、トチ狂った精神的露出狂か白痴の善人くらいなものだ。どちらも似たようなものである。 だが、全てではなくとも真実ではある。DIOは注意深くマッシモを観察していた。 マッシモが自ら語ったことは少なかったが、ゼロではない。人となりを理解するにつれ、よりマッシモへの興味は深くなった。 何より、マッシモはDIOに対して恐怖や畏敬、およそ『友人』関係を築くにあたり差しさわりある感情を抱いていない。人の血を啜る人ならぬ化け物と理解してなお、マッシモはありのままのDIOを見ている。 これは『彼』以来のことかもしれない――DIOはふと思う。 アメリカに住む、かの『友人』と、最後に言葉を交わしたのはいつだったか。 つい先日だった気もするし、遙か遠い昔にも思える。彼との時間は得難く貴重なひと時だった。 その心安らかさ、気安さには及ばないまでも、マッシモとのひと時はDIOの抱える鬱屈を大いに紛らわせた。 (思った以上に良い拾い物をしたものだ) 『天国へ行く方法』は、DIOにとっての至上命題。マッシモ・ヴォルペはその良き担い手となってくれるだろう。 ジョースターの血族の抹殺は、いわば『天国』へ行くための道程に纏いつくささやかな障害に過ぎない。 肩の付け根にある『星』は、依然変わりなくジョースターの存在を知らせている。意識を向ければチリチリとささくれだつように、その気配を感じている。いずれは処分せねばなるまいが、それに付随して気になることもあった。 ジョジョと承太郎の死をこの目で確認した。だが、少なくとも『ジョジョは既に死んでいる』はずだった。他ならぬこの肉体こそがジョジョのそれであるのだから。 奇妙なことは他にもある。『星』の示すジョースターの血統……部下に調べさせた限りでは、ジョセフ・ジョースター、ホリィ・空条、空条承太郎、該当者はその三名のはずだった。 そして承太郎は死んだ。ならば、この気配はなんだというのだろう。『星』は片手の指では間に合わぬ数の気配に疼いている。 (放送後に、名簿の配布があると言っていたな) 主催者を名乗る老人はそう告げていた。ならば、それを確認してから動いても遅くはない。 ささくれる『星』を一撫でして、そう結論付ける。 優先されるのは『天国』だ。得難い能力を持つ者に出会えた引力をもって、DIOはますますその思いを強めていた。 そこまで思考を纏めたところで、ふと微かな臭いを感じて立ち止まった。唐突に立ち止まったせいで少し先んじたマッシモが足を止め、訝しげにDIOを見やっている。 「どうした?」 「ふむ……君にはわからないか」 ――血の匂いだ。 吸血鬼になってからというもの、こと血に関しては煩くなった。人が嗜好品を吟味するにも似ているが、それ以外は口にできても体が受け付けないのだからある意味では必然か。 マッシモはDIOの意図を理解したようで、周囲に視線を走らせている。だが、人あらざるDIOの眼にすらかからない何者かが、人の身であるマッシモに捉えられるはずもない。 「死臭もするな。それも古くない……」 言う間にも、臭気はどんどん強まっている。マッシモも気づいたのか、警戒もあらわに眉を顰めている。 そして、奇妙な光景が二人の目に映った。 ひたひたという足音と、ずるずると引きずるような足音。なにもないはずのそこに浮かび上がる、血のマスク。 真っ赤な口が、ニタリと吊りあがった。 「……ッ!?」 「屍生人……とは少々趣が違うな。スタンド能力か」 絶句するマッシモとは対照的に、DIOはごく冷静にそれらを観察している。 辺りに溢れる死臭と濃厚な血臭は、間違いなく目前にいるだろう『動く死体』から発せられていた。笑ったことからも、ある程度の自意識は残っていると推察する。 周辺にスタンド使いらしき姿が無いことは『世界』の目を通しても確認済み。使い手当人すら透明にする能力であるとも考えられるが、どちらにせよ武器であるだろうこの死体を処分すれば、直接出てくるか逃走せざるを得なくなる。 目の前の死体の挙動はどう見ても『餌を前にした駄犬』そのもの。知能の低い屍生人にもよく見られた傾向だ。 自意識の残る透明な死体を操る、少しばかり興味をそそられる能力ではある。だが、せっかくの『友人』を危険に晒してまで欲しいものでもない。 立ちはだかるのであれば排除するまで。 「残念だが、運が無かったな」 聞こえているのか居ないのか、ニタニタと笑っていた真っ赤な口が拭いとられるように消えていった。 ◆ スポーツ・マックスは、とてもとても乾いていた。 リビング・デッド――生ける屍。かの刑務所で神父より与えられたスタンド能力『リンプ・ビズキット』によって肥大した食欲を持て余したまま彷徨う透明ゾンビと化した彼に、元ギャングの伊達男ぶりは見る影もない。 老婆ひとり『喰った』ところで、乾きはいよいよ増すばかり。おまけにあたりはだだっぴろい野原で、人っ子ひとり見当たらない。 何かを忘れている気もするが、思い出すより乾きが先だ。 ――ああ、喉が渇いた。カラカラだ。 乾いて乾いて仕方がない。しかし、かといってどこに向かえばいいという単純な目的も思いつかない。屍と化したスポーツ・マックスに残されているのは『食べたい』という原始的で強大な欲求だけ。 彼の後をついて回る、哀れに従う生ける屍――己が喰った老婆すら、彼の目には止まらない。意識の端にもかからない。 仮に彼が何かを思ったところで、老婆の魂はここより失われて久しく、そのか細いぼろきれのような肉体はリンプ・ビズキットの能力によって保たれているに過ぎないのだが。 当てもないひとりとひとり、ふらふらと彷徨っていたところで、ようやく次の獲物を見つけることができた。 ――男、男ふたり。 ――片っぽはあんまり美味そうじゃあないが、あの金髪は悪くない。 ――あぁ、喉が渇いた。 ――男のくせに、そこらのビッチよりよっぽどキレイなツラしてやがる。 ――あぁ、もう、カラカラだ。 ――早く早く早くッ! そのキレイなツラに齧り付いてッ! 脳ミソを喰らいたいィッ! スポーツ・マックスは思わず垂れそうになった涎を拭う――既に死んでいる彼から生体特有の分泌物がでるわけはなく、拭われたのは先の犠牲者であるエンヤ・ガイルの生乾きの血液と脳漿だったが――と、乾きに任せてむしゃぶりつくように飛び掛かった。 「世界」 飛びつき、今まさに食らいつかんとした男が告げた一言で、スポーツ・マックスの第二の生は終わりを告げた。 否、終わったことすらも理解できていなかったかもしれない。 静止した時の中では、思うことすら許されない。死してなお死ぬ――それにすら気付けないスポーツ・マックスの魂は、果たしてどこへ行くのだろう。 ◆ DIOにとって、死体が動いていることはなんら不可思議な現象ではない。 百年にも及ぶ海底での眠りにつく以前にも部下として使っていた憶えはあるし、死体を操る能力を持つ老婆もひとり知っている。ただ、今回のケースが”当の死体が見えない”少しばかり特殊なケースだったというだけだ。 見えないのならば、どちらかが対象を捕捉した時点で時を止めればいい。 どちらを狙っているのかは定かでなかったが、DIOが促したことでマッシモも警戒をしていた。致命的な攻撃はそうそう食らわないだろうと大雑把にあたりをつけ、透明な死体が自身に触れた時点で『世界』を発動した。 「死体を操り、また透明にする能力……か。悪くない能力だ。 だが、無知とは悲しいな……貴様の敗因はただひとつ、このDIOを狙ったこと」 無造作に腕に浅く刺さった金属を引き抜いて投げ捨てる。掴んだ形状から察するにハサミのようだ。 不快ではあるが、この程度の傷は怪我のうちにも入らない。先だっての『食事』も幸いし、傷痕は瞬く間に跡形もなく消える。 跡らしい跡は衣装に残った破れ目だけだ。 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!」 目の前の空間へと――そこには死体が居る――『世界』のラッシュを叩きこむ。黄金色の闘士が主の意志の下、あまりの速さに無数にも映る力強い拳を繰り出す。骨が砕け、肉が弾け、形状が失われていく。 不快な死体が人としての原型も留めずグチャグチャに潰れていく感触がスタンド越しに拳に伝わった。 操り人形も、原型すら留めなければ操れまい。 そこでふと中空に妙なものが飛び出たことが目にとまり、DIOは『世界』の拳を停止した。 「……!?」 『それ』が何なのかを確認した瞬間、DIOは久方ぶりに驚愕していた。 記憶の海から引っ張り出した『それ』の印象と、透明な死体から飛び出た『それ』は、あまりにもよく似通っていた。似ていた、というより『それ』はそのものだった。 不自然に浮かぶ二枚の『それ』を手に取り、まじまじと眺め、ぽつりと呟く。 「まさか……君も、ここに呼ばれているのか……?」 プッチ。 ――そして時は動き出す。 ◆ マッシモには、何がなんだかわからなかった。 何者かが襲いかかってきたことだけは辛うじて理解していた。マッシモの足首に、異様な力でしがみついてきた透明な何かが居た。 だが、マッシモが己のスタンドを発現させるより先にDIOが『世界』と呟いた瞬間、恐ろしい握力で握り潰さんばかりにしがみついていた何者かは、煙かまやかしかのように消えてしまった。 残るのは、確かに掴まれたという足首の鈍いしびればかり。 あたりを漂っていた血臭も、今やかすかな残滓を残すのみ。 不意にカシャンと硬質な音を立てて、何かが石畳に落ちた。月明かりに鈍く光る金属の首輪。己らの首に付けられているものと相違ないだろう。 マッシモは俯いて何やら考え込んでいるDIOをちらりと見て、首輪を気にする素振りもないことを確認すると嘆息しながらその首輪を拾い上げた。 「参加者、だったみたいだな」 首輪だけが落ちているということは、おそらくDIOによって頭を吹っ飛ばされたか何かしたのだろう。純粋な膂力によるものか、それともスタンドの能力によるものか、どちらにせよ恐るべき力には変わりない。 だが、理解すら及ばない恐るべき力を見せつけられて尚、DIOに対しての恐怖は無かった。マッシモにとって恐怖の定義は仲間を失うことだったし、そしてそれは既に失ってしまったものである。ゆえに恐怖という感情はなかった。 不可解だったのは、心の奥底に微かに湧きおこった歓喜。 ブッ殺してスカッとした、とか、殺されなくてよかった、などという矮小で利己的なものではない。そんなものは端からマッシモの裡に存在していない。殺して当然だし、殺されてもまた当然。殺し合いは彼の日常の一端に属している。 ならば何に『歓び』を覚えたというのか。 「……おい、DIO?」 相変わらず沈黙したままの彼に、しびれを切らして再度声をかける。首輪が転がっていたということは、襲撃者を処分したということだろうと思っていたが、もしや未だ何らかの攻撃を受け続けているのだろうか。 仮定は想像を引き起こし、想像は感情を引きずり出す。 首輪のことから、襲撃者は一人だと思っていた。だが、その前提すら何の保証もないものだ。ここは殺人遊戯場に等しく、いつ何どきどんな悪意がばっくりと口を開けて待ち構えているのかも定かでない。 かつてマッシモの大切な仲間だった少女――アンジェリカのように、姿を見せる必要のない広範囲型のスタンド能力だとしたら? すぐには認識できない攻撃があるということをマッシモは知っている。 背筋が総毛立った。 「ッDIO!」 「……そんなに呼ばなくとも聞こえているよ」 実に面倒くさそうに、気怠げに、こともなげに、マッシモが呼びかけたその人は俯けていた面を上げた。ピジョンブラッドの如く美しい真紅の瞳が、駄々っ子を叱るように眇められている。 そこでようやくマッシモは気づいた。今や全ての情動の端が、この異形の帝王たる麗人に繋がりつつあるという揺るがしがたい事実に。 「何というか……すごく、気になることがあるんだ。少し時間もかかるかもしれない。 歩き回って君も疲れただろう? 丁度いいから刑務所で休憩でもしようじゃあないか」 耳朶をくすぐる声音が心地よい。 これは毒だ。抗いようもなく染みこむ甘い毒。もう囚われて抜け出せない。 先程の悪寒は既に別の何かに姿を変えている。『この人に見捨てられ、殺されるのだけはいやだ』ふとそんな思いが脳裏を過ぎった。 「あ、ああ……構わない」 「それは首輪か? ふむ……それも、少し調べたい。いいだろ?」 「ああ……」 「なんだよ、ヘンなヤツだな」 言葉ほどには気にするふうもなく、鷹揚とした微笑みを浮かべ、DIOは手に持った円盤状の何かを玩ぶようにいじくっている。 「別に、なんでもない……DIO、それは何だ?」 「これか? DISCだよ」 DISCだという奇妙な円盤状のそれを、DIOは詳しくは語らずやけに大切そうにデイパックへとしまいこんだ。 それが何を意味するものなのか、きっとDIOは知っているのだろう。せっついたところで話してもらえないのならば、マッシモは餌を待つ犬のように、ただひたすら主の気まぐれを待つよりない。 人と人でないもの。被食者と捕食者。敵。友人、そして。 この僅かな間に、マッシモと彼の間には幾つの関係が築かれたのだろう。 奇妙な、関係だった。 首輪とDISC以外に特に目を惹かれる物もなく、やがて二人は連れだって目的の地であるGDS刑務所に向かった。 「なあ、マッシモ……東には特別な意味がある、と言ったのを覚えているか?」 不意に、DIOが問いかける。ついぞ聞き覚えのない、酷く真剣な声色だった。 マッシモは暫し逡巡し、肯定するように頷いて見せる。それを確認してDIOはこう続けた。 「キリストの経典の一部にある、東の果てにあるという幸福の地エデンなる『天国』は、あくまでも伝承の中のものでしかない。 エデンがどこかに実在するとは到底思えないし、それが土地や場所である必然性は全くない。 だが、『天国』が存在するという事実を告げていると、私は思う。 伝承とは戯曲化された歴史に他ならない。ならば何を主眼に置いて戯曲としているのか? ……精神の向かう所だと、私は考える。物質的なものでは本当の幸福は得られない。 『天国』は物質的なものではなく、精神の力によりもたらされる。本当の幸福がそこにはある。 精神の力はスタンドの力であり、その行きつく先が『天国』。 真の勝利者とは『天国』を見た者の事だ……どんな犠牲を払っても、私はそこへ行く」 熱っぽく語られた一言一句、全て漏らさず理解できたとは到底言い難かった。 むしろ、理解できるほうがどうかしているんじゃあないかとすらマッシモは思ったのだ。 ただ、その狂おしい程の情熱だけは理解することができた。強大な力を持ち、不死の肉体を持ち、何を憂えることもなさそうなこの帝王然とした彼が、唯一欲し、求める果てが『天国』なのだろう。 「そのために、俺が必要だと?」 DIOは無言の肯定を見せ、ふと遠くを見るような眼差しをした。 「彼が……私のもう一人の友人が、ここにいるのなら。 『天国の時』は近いだろう」 果たしてその時に何が起こるのか。 神の名を冠する不死の王の傍らに、敬虔な殉教者のように男はひっそりと添っていた。 【スポーツ・マックス 死亡】 【残り 104人】 【E-3 西部、ティベレ川河岸/一日目 黎明】 【DIO】 [時間軸] 三部。細かくは不明だが、少なくとも一度は肉の芽を引き抜かれている。 [スタンド] 『世界(ザ・ワールド)』 [状態] 健康 [装備] なし [道具] 基本支給品×2、麻薬チームの資料@恥知らずのパープルヘイズ、地下地図@オリジナル、リンプ・ビズキットのDISC、スポーツ・マックスの記憶DISC、ランダム支給品1~2(確認済み) [思考・状況 基本行動方針:帝王たる自分が三日以内に死ぬなど欠片も思っていないので、『殺し合い』における行動方針などない。 なのでいつもと変わらず、『天国』に向かう方法について考えつつ、ジョースター一族の人間を見つければ殺害。 もちろん必要になれば『食事』を取る。 1.我が友プッチもこの場にいるのか? DISCで確認しなければ…。 2.適当に移動して情報を集める。日が昇りそうになったら地下に向かう。 3.マッシモ・ヴォルペに興味。 4.首輪は煩わしいので外せるものか調べてみよう。 【マッシモ・ヴォルペ】 [時間軸] 殺人ウイルスに蝕まれている最中。 [スタンド] 『マニック・デプレッション』 [状態] 健康 [装備] なし [道具] 基本支給品、大量の塩@四部、注射器@現実、スポーツ・マックスの首輪 [思考・状況]基本行動方針:特になかったが、DIOに興味。 1.DIOと行動。 2.天国を見るというDIOの情熱を理解。 3.しかし天国そのものについては理解不能。 投下順で読む 前へ 戻る 次へ 時系列順で読む 前へ 戻る 次へ キャラを追って読む 前話 登場キャラクター 次話 026 TRIP HEAVEN DIO 081 計画 041 少女ルーシーとネクロファンタジア スポーツ・マックス GAME OVER 026 TRIP HEAVEN マッシモ・ヴォルペ 081 計画